香港の日本人駐在員が帰国前にあわてて保険に入る理由

NHKクローズアップ現代プラスの「保険値上げで家計直撃!賢い見直し術とは」という特集で伝えられた日本の保険の現状。マイナス金利政策の下、運用益がだせず生命保険料が値上がりになり、不要な勧誘や手数料の加算も行われているという。そんな状況だからこそ、香港にいる駐在員は日本に帰るまえにあわてて保険に加入している。

日本では「保険は増えない」のが常識に

ファイナンシャルアドバイザーの柳田です。先週、NHKの報道番組「クローズアップ現代プラス」で「保険値上げで家計直撃!賢い見直し術とは」という特集をしていたので、ご覧になった方も多いのではないかと思います。NHKのホームページから番組内容が見られますので、ご覧になってない方はチェックしてみてください。

リンクはこちら→ https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4000/ 

マイナス金利政策が続き、保険会社が運用益を出すことができず、昨今保険料を値上げしているという実態に焦点を当て、日本の保険の厳しい現状を伝えていました。貯蓄型の保険はほとんど増えないので、加入しても無駄であるというのです。また、一部の保険販売代理店では、特定の商品の販売をすると保険会社から多くのインセンティブ(報酬)をもらえるために、本当はそのお客さんにおすすめではない商品をすすめることもあるという実態が報告されていました。番組では、保険ショップで働いていた男性が覆面で取材にこたえ、お客さんに「ごめんなさい」という気持ちを持って保険を販売していたというコメントもありました。また、2016年に金融庁が出したレポートの中で、日本で販売されている外貨建て保険には不当に手数料を高く設定しているものがあるという報告も紹介されていました。番組の結論は、貯蓄型生命保険はあまり役に立たないので、賭け捨の就業不能保険などを賢く利用して万が一に備えるべし、というものでした。これを見て、日本の保険をめぐる状況は海外のそれと比べるととてもお残念だなぁと思ってしまいました。

「保険は香港にいるうちに」

私たちが資産運用のアドバイスをしている香港では、国際金融都市にふさわしく多彩な保険商品が手に入ります。よく香港に駐在している日本人が帰国前にあわてて保険に入るケースがあると聞きますが、これは日本国内では同様の保険を見つけることができないからです。日本には保険法という法律があり、海外の保険会社が日本国内にて保険商品の営業・販売をすることを禁じています。ですので、日本では海外の保険商品を買うことはできません。香港に拠点を置く保険会社の中には、香港内で香港居住の日本人にのみ販売をしている場合、日本在住であっても香港内での契約であれば応じている場合など、保険会社によってその対応は分かれています。いずれにせよ、香港にいるうちに加入してしまえば、帰国後もそのまま保有することが可能で、10年~30年かけて大きく増やすことができるので、駐在員は香港に住んでいるうちにその特権を利用している人が多いようです。日本に住んでいる方でも、当社のようなIFAに相談し、わざわざ香港まで飛んで保険に加入するかしこい方も中にはいます。

高い利回り

香港で加入できる保険と日本で販売されている保険との大きな違いは利回りです。香港の保険は保証利回り1~3%/年、運用に応じた配当も含める予定利回りが3~4%/年というものが多いです。ファンドを選択するタイプの投資型保険であれば、利回り4~6%を狙えるものも少なくありません。一方、日本の貯蓄型保険は「ほとんど増えない」というのが常識になっているようです。ある日本の保険会社が積極的に販売している積立保険で、合計100万円積み立てると10年後に103万円になるものがとても人気だという話を聞きました。年利に計算しなおしますとと0.3%以下という低い数字です。それでも大手都市銀行の定期予期が年利0.01%ということを考えるとだいぶいいようにも思えますが、香港の保険と比べればとても効率が悪いと言えます。

多彩な保険商品

香港の生命保険には多彩な商品があります。伝統的な生命保険は番組でも紹介されていた日本の生命保険に近いタイプで、死亡保障が厚い死亡保険型と個人年金や学資保険など貯蓄型があります。また、「ユニバーサルライフ」といわれる新しいタイプの生命保険があり、これは手数料や保険料、金利、時価、配当金がすべてオープンになっていて、お金の出し入れが比較的自由で、消費者が自由に設計できるものです。また、投資型保険(ILAS-Investment Linked Assurance Scheme)と言われるものもあり、契約者が自由にファンドを選んで投資するもしくはファイナンシャルアドバイザーにファンドの管理を頼み、運用するタイプのものです。保険会社が運用するのでなく、あくまで契約者が自分でリスクを取ってファンド投資をするためのプラットフォームなのですが、保険としてパッケージされているので、被保険者が死亡した際に死亡保障が支払われます。毎年ファンドの運用で利益を出していても、あくまで保険商品なので、解約するか満期になるか死亡して保険金が支払われるまでは、税金の申告が不要で、いわゆる税の繰り延べができるメリットがあります。また、高額を投入する富裕層向けにはオープンアカウントと言われるタイプで、世界中の個別株、債券、ファンドを選んで投資ができる商品もあります。

貯蓄は銀行預金で?

このように、香港の保険は多彩かつ運用効率がいいので、消費者の保険に対する考え方や利用の仕方も日本とは大分違います。保険というのは、必要な保障や備えを確保しながら、「保険会社にお金を預けて投資で増やしてもらう」もしくは、「自分で投資をするプラットフォームを提供してもらう」ものなので、あくまで資産運用や特定の目的のために資金を増やす手段なのです。保険は掛け捨てで入り、たいていは何事もなくお金は戻ってこないけれど、万が一不幸なことが起こった場合は保障がもらえる、という日本の保険の考え方とは大きく違うのです。

前述のNHKのクローズアップ現代プラスでは、貯蓄は保険ではなく銀行預金でした方がいいというファイナンシャルプランナーのコメントがありましたが、周知のとおり日本の銀行に預けてもほとんど増えず、ATMを時間外に利用すると手数料を取られすぐに元本割れしてしまうような状況です。本来保険は投資に手が出しにくい一般の消費者が貯金を守り、増やすために利用できるはずのものなのに、そのニーズに応えらておらず、多くのお金がただ銀行口座で眠っているのは本当に残念です。日本人でも資産家の多くはすでに海外での資産運用に保険を利用していますが、一般の消費者も海外の保険を気軽に利用できるようななればいいのになぁと思ったのでした。

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