ビットコイン長者は果たしてハッピーなのか
最近ネットニュースで盛り上がるビットコインなどの仮想通貨。筆者の周りにも実際に仮想通貨で稼いだ「ビットコイン長者」や「億り人」がいるが、彼らは従来の「資産家」や「億万長者」にはない悩みを持っているようだ
「億り人」と伝統的な「億万長者」の違い
最近、ネットニュースを見ていると、仮想通貨に関する記事が盛り上がっています。賛否両論ありますが、たくさんの専門家の様々な意見が聞けて勉強になります。私の実感としても、昨年の夏頃から、会う人会う人が口ぐちに、ホットな話題として仮想通貨(特にビットコイン)投資のことを話しています。老若男女問わず、仮想通貨には多少なりとも興味があるようで、運が良ければ何十倍ものキャピタルゲインが見込まれるという話。実際に近しい友達に起こった夢のような話もたくさん聞きました。仮想通貨やFXなどの投資で1億円以上を稼いだ人を「億り人」と呼ぶようですが、私の周りにはこのような「億り人」もいれば、ビジネスなどで資産を築き「億万長者」になった従来の資産家もいらっしゃいます。夢の手法で短期間に莫大な資産を築かれた仮想通貨長者たちと話していると、経済的自由を手に入れているという事実は同じでも、伝統的な資産家の人たちとは少し見え方が違うというか、ちょっとした違和感を覚えることがあります。思いがけず財を手にして本当に嬉しい。ただその嬉しさの間に垣間見られる「栄華は永遠には続かない」といった寂しさのようなものをなんとなくですが感じます。気持ちはわかるような気もします。その言動の要因はぼんやりとは理解しているつもりではありますが、今回は良い機会なので、ちゃんと頭の中を整理しながら、ビットコイン長者を悩ませる要因を考えてみたいと思います。
ビットコイン長者のかかえる悩み
《その1:資産が手元にない不安感や価格が確定されていないプレッシャーがある》
仮想通貨としての資産はあくまでもネット上のデータとして存在しているだけで、実感しづらい形状で保有しているわけです。評価額ベースであるため、刻々の値段変動で一喜一憂しなければいけない状態に自分を置いているので、かなりの心的ストレスがある模様です。これでは値段が気になり、常にチェックをしてしまうのは仕方のない当たり前で、人間らしい行動です。人間らしい行動ではありますが、それでは心が休まりません。
《その2:売却後の税金問題》
利益確定には常に税金の問題がつきまといます。仮想通貨で得た利益は雑所得扱い。つまり、20万円以上の利益があれば、最大で55%(住民税含む)の税率です。特定年のみ所得が増えるため、それに付随する健康保険なども負担増になります。これではなかなか売却するインセンティブがありません。加えて、送金したり、支払いをしたりした、それぞれのトランザクションの履歴も全て残しておく必要があり、大人になってもお小遣い帳をつけて報告しているようでたいへんです。
《その3:税務署の目が気になる》
昔はFX長者、今は仮想通貨長者の脱税監視を強化している税務署。売却益が多い億り人は必然的に目立ち売却も躊躇してしまう気持ちも分かります。また、売却後も高額納税をした実績から今後も税務署にマークされるかもしれないストレスもあります。納税は義務ですから仕方ないと割り切っているにはいるけれど、トータルの納税金額を考えると、残念な気持ちが芽生えてしまうのも正直な反応だと思います。
仮想通貨の夢の後に・・・
なるほど、喜んでばかりはいられないのにも納得です。経済的自由を手に入れると人生における幅広い選択肢を選ぶことができるのですから、本来ならその結果の裏にはハッピーで楽しい人生が待っているはずなのに。運に任せて短時間で多額の資産形成を成した場合、自身の運を讃えつつ、大きな喜びを味わえる、その一方で憂鬱の芽がポツリポツリと顔をだすのは避けようのないことなのかもしれません。でもそれは本当に望んでいた億り人生活だったのでしょうか。それらの苦悩を感じないハッピーな生活を送るためには、自身のココロをストレスに負けないくらい強固なものに鍛えるか、たとえそれがゼロになっても笑ってあきらめられるくらいの額を投入するかのいずれかしか、手がないように思います。 各国では追い討ちををかけるように、仮想通貨の取引に関する規制が強化されてきました。また、投資の情報からひどく遠い人までもが、語り始めた仮想通貨。これからどうなっていくのかは、なんとなく見えてきました。夢のある投資としての(私は投機と呼びたいですが)仮想世界から無理やり起こされた後、できれば良い気持ちの余韻が残る夢だったと感じながらエグジットを迎える人が多くいて欲しいです。