債券市場概観 – 2018年12月

先月の債券市場をざっくり概観。イベント続きとなった12月、ただの調整局面なのか、あるいは。

日本の方は今日から仕事始めの方も多いと思います。

香港ではいわゆる旧暦の正月(旧正月)が本番のお正月でして、日本のように新暦1月1日のお正月を祝う習慣はありません。旧正月は日本のお正月と同じく親戚縁者で集まるならわしですが、最近では年に1度の旧正月しか会わない年配の親類との挨拶まわりやエンドレスな宴会、そしてマージャン大会を避けるため、香港を脱出し海外で旧正月を過ごすご家庭も増えてきています。香港の旧正月といえば挨拶、宴会、マージャンで過ごすと相場が決まっていたので、香港を脱出するというのはいい傾向かもしれません。自分が不快に感じることにはすべてハラスメントというレッテルを貼る風潮ですから、旧正月ハラスメントという言葉がすでに誕生してるかもしれませんね。

先月の債券市場

昨年10-12月は市場も大きく荒れてストレスを抱えた方も多かったのではないでしょうか。大きな下落の始まりという見方もあれば、調整局面に過ぎないという見方もございます。貿易戦争、Brexit、米債務上限問題と昨年の10月から先月まで怒涛の展開でした。10月は株式と同時に落ち、11月、12月と債券市場は株式市場と反対の動きをし、株式の下落に反して債券が買われる展開となっています

市場でいうと、2015年の利上げから新興国市場の金融資産が投げ売られた感がありましたが、それも落ち着いてきておりリスクとリターンが釣り合う状態となっている気がします。ボロクソに言われ売られた中国市場の債券なんかにも目を向ける投資家がちらほら出てきました。債券投資家は株式と違って目線が長期なこともあり、「底を狙いにいく」という習性はあまりないように感じられます。ただここ最近の市場の揺れは魅力に感じてらっしゃる方は多いようで、ここ1-2ヶ月の間に余剰キャッシュを一気に債券に振り向け、今年一年はもうポートフォリオをいじらないようにしよう… 仕事に集中するためにも… といったところでしょうか。

さて、2019年の市場動向予想については弊社アドバイザーの投稿がありますので今月はあっさりこれくらいにしておきますね。

クローズド・アカウントで購入可能な債券本数

先月から9本増えて現在

595

本がクローズド・アカウントにて購入可能です。購入可能な債券リストはこちら(Google Spredsheetに飛びます)。

ランキング

1. 値動きトップ 2. 値動きワースト 3. ハイイールド の3つのカテゴリーでのランキングです。ランキングの母体は上述のリストからです。以下、注意書きです。

  • 同じ会社で複数債券を発行している場合は、その中でもっとも良い(悪い)ものを1つだけ選んでいます(数字は11月30日時点のものです)
  • 値動きの計測期間は過去1ヶ月
  • オファープライスはお取引価格(債券価格と未確定クーポンを足したもの)
  • 格付けは特に断りがない限り発行体に付与されたものではなく債券ごとに付与された、S&Pのものを使用
  • 以下に出てくるような値動きが激しいものは、売買が成立しづらい(流動性がない)ものですから実際に投資を決定するにあたっては担当アドバイザーとよく相談してください
  • このランキングは購入できる債券が限られた「クローズドアカウント」内のものです。債券市場はこれよりもずっと広大ですから、リストにない債券で運用したい方はお問い合わせください

値動きトップ3本

この1ヶ月で債券価格が上昇したもの上位3本です。

上昇幅+4.94%, FTHDGR 7.375% 04Oct2021 Corp (USD)

中国の不動産会社、Fantasia Holdings Group(花様年控股集団有限公司)の債券です。直近の財務諸表を見ましても、そこまで悪い会社だとは思えません。実際、これだけ債券価格が上昇したのもFantasia社が販売している不動産の売れ行きが好調だからでしょう。

しかし中国の不動産市場は冷え込む一方で、しかも中国政府が米ドル建て満期1年未満の短期債券での資金調達を禁止するかも、という報道が流れたり、今後キャッシュにつまる中国の会社がバタバタ出てくるでしょう。

オファープライスUSD151,973
格付けB
満期までのイールド(実質利回り)17.99%
表面利回り7.375%
償還期限2021年10月4日

上昇幅+3.47%, CKINF 5.875% Perpetual Corp (USD)

泣く子も黙る、長江グループが保証人となっているインフラ系SPCです。上場していないので財務情報等は手にはいりませんが、長江グループが保証人となってくれているのであれば安心な気もします。

オファープライスUSD195,473
格付けBBB+
満期までのイールド(実質利回り)6.238%
表面利回り5.875%
償還期限永久債

上昇幅+3.43%, QHINVG 6.400% 10Jul2021 Corp (USD)

中国の内陸、青海省の債券です。額面100に対して75前後で取引されています。Bloombergには「アルミの製造、電源開発、石炭採掘」と書かれていますが、残念ながらどれも逆風が厳しい… 売買も過去1ヶ月数度の取引があった程度ですから、3%ちょっとの上昇はほとんど無視していい程度でしょう。

オファープライスUSD 153,170
格付けB+
満期までのイールド(実質利回り)19.49%
表面利回り6.400%
償還期限2021年7月10日

値動きワースト3本

この1ヶ月で債券価格が下落したもの上位3本です。

下落幅-19.1%, HONAIR 7.125% Perpetual Corp (USD)

香港の航空会社、香港航空の債券です。あの疑惑まみれで借金まみれのHNAグループが親会社ということもあって、厳しく売り込まれてます。シンガポールのテマセクがHNAグループから香港航空から株式を買い取るというニュースがありましたが、流れてしまったのでしょうか。

オファープライスUSD136,715
格付けN.R
満期までのイールド(実質利回り)11.25%
表面利回り7.125%
償還期限永久債

下落幅-8.494%, FNGHUI 7.875% 10Aug2019 Corp (USD)

リース会社、Jinzhou Cihang Groupの債券発行目的会社(SPC)。深セン株式市場には上場しているようですが(000587:CH)、ほとんど情報が出てきませんでした。満期が近いのに額面100に対して80前後で取引されています。よほどヤバイということでしょう。

オファープライスUSD166,506
格付けN.R.
満期までのイールド(実質利回り)60.22%
表面利回り7.875%
償還期限2019年8月10日

下落幅-6.6%, SOFTBK 6.875% Perpetual Corp (USD)

我らがソフトバンクの債券です。2018年はソフトバンクは中東での記者殺害事件、ソフトバンクの株式上場でのつまづきと良いことない一年でした。

オファープライスUSD170,045
格付けB+
満期までのイールド(実質利回り)8.58%
表面利回り6.875%
償還期限永久債

ハイイールド トップ3本

満期までのイールド139.11%, HSINCG 8.500% 22Jan2019 Corp (USD)

香港デベロッパー、HSIN CHONG GROUPの債券。昨年のクリスマスイブにデフォルト宣言しております。あと2週間でもし会社の財務が劇的に改善すれば投資家の勝ちですね。

オファープライスUSD87,197.26
格付けN.R
満期までのイールド(実質利回り)139.11%
表面利回り8.500%
償還期限2019年1月22日

満期までのイールド8,500%(7.59%), HONAIR 6.900% 20Jan2019 Corp (USD)

前述の香港航空の別の債券。もうすぐ満期を迎えるこの債券ですが、年ベースの利回りでみると8,500%ととんでもないことになっています。サクッと買って2週間で7.59%のリターンを得ることができるかどうか。神のみぞ知る…

オファープライスUSD192,295
格付けN.R
満期までのイールド(実質年利回り)8,500%
表面利回り6.900%
償還期限2019年1月20日

満期までのイールド69.42%, CSSXF 7.950% 15Feb2019 Corp (USD)

中国のソーラー会社、China Singyes Solar Technologies Holdings Ltdの債券です。もうすぐ満期! 会社の財務担当にはぜひ頑張って欲しいところです。

オファープライスUSD87,197
格付けN.R
満期までのイールド(実質利回り)69.42%
表面利回り7.950%
償還期限2019年2月15日

これら現物債券の購入アドバイスや手数料についてのご相談はこちらからどうぞ。

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