債券市場概観 – 2019年5月

債券市場をざっくり概観。利上げから利下げへの転換。

6月4日、天安門事件から30年、香港では大学を中心にそこかしこで集会が行われておりました。中国語では”六四事件”といわれる天安門事件ですが、完全沈黙を強いられている中国本土と違って香港の各メディアはそれぞれに批判を展開しています。英字メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポストはジャック・マーが率いていたアリババに買収されてから資本は中国系となったのでどう伝えるか、気になっていたものの”忖度”はなかったようです。

Tiananmen Square, 30 years after China’s crackdown | South China Morning Post

折しも米中貿易戦争が単なる貿易戦争にとどまらず、冷戦の様相を呈してきている中、自由を標榜する香港の統治が自由を抑圧する中国に委ねられているという矛盾が一体どう形を変えていくかは私たち香港に住む外国人にとっても大きな関心事となっています。

しかも香港金融界ではアメリカが覇権を握っていながら、統治では中国というかなりいびつな構造を抱えています。アメリカは西側諸国の連携を進め、中国包囲網を作ろうとしていますが僕がトランプなら、中国本土だけでなく香港にも何らかの制約を課すだろうと考えますね。アメリカの最終目標は中国経済の衰退ではなく共産党政権の打倒、そしてそれに続く市場の開放と西側諸国が信じる自由と民主の布教ですから自由はともかく民主がない香港、そして中国政府にコントロールされている香港が何の影響もないとは考えにくいですね。

とはいえ弊社のお客様の資産はほとんど香港外のオフショアに分別管理されております。香港は金融サービスの拠点ではありますが、有価証券の管理は金融オフショア地であるケイマン諸島やBVI、バミューダにて米系・ヨーロッパ系の金融機関のカストディ・サービスを通じて行われております。したがって仮にこの貿易戦争が激化したところでお客様の資産管理には何の影響もありませんのでご安心くださいませ。

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先月もお伝えした、「香港で捕まえたら、中国に移送できる」という法律。香港各地でビラ配り、デモ、集会が開かれております。こちらは銅鑼湾で配られていたチラシ。

先月の債券市場

利上げの可能性がほぼ干上がってしまいまして、市場は利下げを織り込む展開。株式市場も債券市場もともに上昇基調にありまして、白熱する米中貿易戦争の悪影響を消し去ろうとしています。一時は3%を超えていた米国債10年物の利回りが2%を割り込もうかという展開で、景気後退の指標ともいうべき長短金利の差がマイナスとなっています。

仮に2年後に景気後退がくるとして、株式市場などの金融市場はそれよりも早く、たとえば2-4四半期前に下落し始めます。すなわち、G20で米中の劇的な和解があり双方関税障壁を完全に取り下げ、中国は外国資本を完全に受け入れ、米国はその見返りに中国に巨額の投資をする… などのミラクルが起こらない限りここから景気回復を果たし不景気突入を避ける、というのは難しそうです。

リーマンショック前のように、政策金利5%以上のバッファは今はもうないわけです。すなわちアメリカを含め世界中が日本のようなゼロ金利政策を取り続けなければならないということになりましょう。ちなみに日本はゼロ金利政策ですらなく、マイナス金利政策が恒久化しそうですが。

取り憑かれたように経済成長に邁進しておりました世界は、人口のある程度の部分の腹が膨れるようになると自律的にゼロ成長を目指すようになるのですかね。人間の欲も、個々人でみると貪欲な人もそうでない人もいますが、総体としてはお腹がいっぱいになれば欲張らない方向になるのでしょうか。

「世界で最も影響力がある100人」にも選ばれた近藤麻理恵さんの、いわゆる「こんまりメソッド」の隆盛もこういう方向と符号するのでしょうか。家の中にモノがあふれるのが「いい生活」だと思ってお仕事をがんばってきた。モノがあふれたら「より大きい家に住んで、またモノをあふれさせた。無限にその繰り返し… という生活は、やはりどの国籍の人にも疲れるものなのでしょうか。

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パウエル連銀議長。あなたの頭の中を知りたい。

債券現物に投資する際にファイナンシャル・アドバイザーに聞いておきたいこと

債券現物は一本あたりおよそUSD200,000、現物だけでまともなポートフォリオを組もうとするとUSD1,000,000程度は必要となってきます。USD1,000,000のポートフォリオを組む際にはおそらく専任のファイナンシャル・アドバイザーがついていることでしょう。

そして日本人の投資家の方は利回りに飢えていらっしゃいますから、高利回り債券に目が行きがち。しかし、高い利回りを提供するということはそれだけ裏に控えたリスクも同時に抱えるということになります。

たとえば先月ご紹介したボーイングの新発債なんかは、米中貿易戦争での影響をモロに受けると思いきや中国の航空会社数社に101機買ってもらう契約をまとめたところです。中国は自前で作れるもの、あるいはロシアなど親中国から仕入れられるものについては制限しないのでしょうね。

現物債券を買う際にはそのあたりの見極め、すなわち発行企業の格付けや財務状況だけでなく世界での立ち位置や今後の成長ストーリーをアドバイザーに求めていきたいところです。高利回りの債券でも掘り出し物がきっと見つかるはずです。

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