投資信託とETFの違いを考える

投信手数料の低下とともに残高が急拡大するETF市場。投信とETFはどのような違いがあるのか。投信、ETFそれぞれの利用の注意点をまとめてみる。

投資信託手数料の低下が進むなかで急激に拡大するETF市場、今回は両者の違いについて理解を深めていただきたいと思います。各国でのETFの残高の伸びの様子は2017年と少し古いレポートですが、こちらでも確認できます。

拡大しつづける世界のETF – 日本証券経済研究所

実は「投信とETFってどっちもファンドなんだよね?」という疑問を抱く人は多い

少し投資に理解のある人であれば、まずは「投資信託=ファンド」という認識が生まれているはずです。まずは第一関門クリアと言えるでしょう。すごく厳密に言うと違うところがありますが、大体そう思っていて問題ないと個人的には思います。

さて、次にETFですね。ETFはExchange Traded Fundの略称ですから、そのまま訳すと”取引所で取引されているファンド”ということになります。

「おっけー、じゃあどっちもファンドなんだ」という結論に達するので、最初に抱いた「投信とETFってどっちもファンドなんだよね?」という疑問への答えはYesということになります。そう、投資家から資金を集めて、それを特定の資産に投資している点で実は何も違いがないのです。

では次に考えるのは「投信とETFの違いって何だろう?」ということになりますよね。

投信とETFの言葉尻だけでの違い

これまでの話で、言葉尻だけ捉えるなら、どうやら「Exchange Traded=取引所で取引されている」という部分が違うらしいということに気づくはずです。そう、ETFは”上場”投資信託と訳されることが多いように、企業の株式同様、誰でも売ったり買ったりできるようになっている、ということです。これが大きな違いです。

「え?誰でも?そしたら私も売ったり買ったりしたい!」となりそうですが、残念ながら、取引所にアクセスできることは条件になってきます。日本に住んでいる場合、近くにある銀行や証券会社に駆け込んでも世界中の株式を買えるとは限りませんよね。つまり、”行くとこに行かないと買えない”という性質は持っています。ただし、逆に言えば、”取引されているところへ行けば買える”ということは確実なわけです。行ったときには売り切れでした、ということにはならないのです。ここがポイントです。

投信とETFの本質的な違い

上場しているかどうかが違う、と言われてもなんだか分かったような分からなかったような感じになるでしょう。だって買えるならなんだっていいじゃないですか。

ETFに人気が集まるのには、上場なのか非上場なのかということ以上に、もう少し本質的な理由があるので、ここで投信とETFをそれぞれ利用する注意点を考えてみます。

投資信託を利用するときの注意点

いい投資信託を見極めるには、本来的には運用マネージャー、運用会社の選別が重要になってきます。

日本株や米国債券など、特定の市場に絞った運用は行うものの、リスクリターンは運用マネージャーの手腕によることになります。株で20%儲ける投資信託もあれば、債券で20%儲ける投資信託もあっていいわけです。株はリスクを取るからリターンが大きく、債券は安全だからリターンが小さいと言い切れる訳ではないのです。債券でもリスクの高い運用の仕方はあるし、株式でもリスクの低い運用の仕方があって、結局マネージャーがどういう運用をしているかも重要なファクターだからです。

まとめると、何の資産に投資するかもさることながら、その投資信託がどういう運用方針で運用されているのかを見極めることに力を注ぐ必要があります。

一方、これが話をややこしくするのですが、現実には市場インデックスに沿った投資信託なども存在します。いわゆる、パッシブ運用というやつです。また、ファンドラップなど特定のプラットフォームでは、購入できる投資信託の種類に限界があったりすることがあるのが注意点です。

ETFを利用するときの注意点

単独銘柄ではないので、どういう市場を選ぶのかが重要になってきます。つまり、アメリカなのかヨーロッパなのか、国債なのかハイイールド債なのかなどです。

日経平均やS&P500に沿った投資を考えるのであればETFは圧倒的に便利で安価なツールとなっています。つまり、マネージャーの力量によらない、パッシブ運用をするのなら、マネージャーに手数料なんか払わないぞ!という発想から生まれているので、手数料がとにかく安いです。また、リスク認識が大前提にはなりますが、レバレッジ2倍3倍のポジションを取る事も可能になっています。パッシブ運用だから安全というわけではありません。

ETFの場合、特定の企業の銘柄に投資するものは基本的にはなく、色んな企業や証券に分散投資をしています。逆に言えば、市場インデックスに沿ったETFの場合、避けたい企業が一つが出てきても外すことはできないわけです。例えば、自動車会社Nで悪いニュースが聞かれても、市場インデックスの銘柄であり続ける限りにおいては保有銘柄であり続けるし、その市場インデックスを買う限りに置いて、自動車会社Nに投資をするしかないのです。

今後は運用手法の二極化を予想

投信とETFの境界は非常に曖昧なところもありますが、まとめると、

ETFは市場のリスクを、投資信託はマネージャーのリスクを取る

ものと考え、二極化しつつあるように思います。したがって、両者の真ん中に位置するような、つまりマネージャーがいるのにリスクを取らない(誰でもできる)投資信託は正直にいってあまりメリットを感じなくなってきています。

少し前までは、投資信託の中でアクティブ運用かパッシブ運用かということがよく言われていましたが、今後は投信=アクティブ運用、ETF=パッシブ運用と思っていれば大枠は外さないような気がします。

投信でもETFでもない選択肢はもちろんあり得る

前段でも触れた通り、投資信託やETFの場合、どちらのケースでも、「保有したくない個別銘柄」を投資家が選ぶことはできません。新興国株式インデックスを買いたいが、中国のテンセントの銘柄だけはいらないと言うことは基本的に難しいのです。その場合は、現物保有をするケース、固有の市場リスクを取りに行くことになります。固有の市場リスクというのは、例えばアメリカのS&P500のETFは買わないが、テクノロジー株インデックスがいい、あるいはシェールガス関係に投資をしたいのでオイル関係の企業インデックスがいいなど、少しだけ投資家としての好みを出していき、またそれを適度な頻度で売買することは悪くはなさそうです。

オープンアーキテクチャの口座を一つ持っておく

結論から言うと、投信もETFも一長一短だということになりますが、一番大事なことはそういった運用業界のトレンドにも対応できる口座を一つ持っておくことなのかもしれません。

投資信託だけしかダメ、ETFしかダメということはなく、オープンアーキテクチャのプラットフォームを採用すれば、市場で取引されているものであれば何でも買える状態にできます。金融商品自体のこうした変化にも対応しつつ、例えば投資信託中心だったものをETF中心にするなど、ポートフォリオの中身を機動的に変えていく事も可能です。また年齢に応じて投資スタンスが変化することもあるでしょう。現役時代にしっかり資産を増やし、老後は現物債券の利息だけで資産を減らさずに生活したい、といったこともあるかと思います。そのときに、プラットフォームを変えなくて済むということも一つのポイントになってきます。一方、何でも買えるは選択肢が多すぎて決められない人もいるでしょうから、そこはアドバイザーと話しながら、一緒に買うものをゆっくり考えていただけたらと思います。

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