独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)の分散をすべきか

IFAにも色んな人がいる。であれば、色んなIFAと付き合っておく(分散する)という発想は有りか無しか。IFAの分散のメリットとデメリットを考える

独立系フィナンシャルアドバイザーとして働いています、宮脇健です。

今回は、「IFAの分散をすべきか」をテーマで記事を書いてみたいと思います。誤解のないようにはじめに明確化しておくと、「商品の購入にあたってIFA自体の比較検討をすべきか」「複数の商品に分散投資をすべきか」とは異なり、「複数のIFAと平行してお付き合いすることにメリット・デメリットはあるか」という視点です。

なぜこんなことを書く気になったかというと、

① 見込みのお客様との会話

② 同業(他のIFA等)との会話

③ ご相談メール

を経て、この論点だけは少し結論が難しいと感じたからです。恐らく「商品の購入にあたってIFA自体の比較検討をすべきか」ということに関してはほぼほぼ賛同が得られるでしょうし、「複数の商品に分散投資をすべきか」ということに関しても、概ね賛同は得られるでしょう。

IFAの分散という考え方を整理する

いや、IFAの分散なんて考えたことがないという人のために、「IFAの分散」とはいかなるものかを大きく分けて2つに整理しておきたいと思います。

1 意図せず分散されているケース

例えば、保険契約を何本も持っていらっしゃる方です。保険というのは不思議なもので「万が一」などと言われると、ついつい購入してしまいます。担当者が変わったり、違う会社と出会ったりすると、それぞれから快く購入してしまう場合があります。

2 意図的に分散されているケース

例えば、10億円くらい資産があって、5億はA社、3億はB社、2億はC社に運用をお願いしてらっしゃる方です。1社がしくじっても大丈夫なように、お金の預け先を分けておくという発想です。

お客様から見たIFAの分散のメリット

常にセカンドオピニオンが得られる

金融商品というのは目に見えない分、難しいと感じるお客様は多いです。そんなとき、頼れる人が複数いれば、とりあえず色んな意見をもらえることになりますから、安心できる、という面はあるでしょう。お金に関してもセカンドオピニオンを取ることはとても大事です。

いざとなれば他方を頼ることができる

香港のIFA業界にとってお客様の証券移管は物凄くハードルが高いものではないです。そのため、片方のIFAと連絡がつかなくなったらもう片方にすがれば何とかなると考えるのも自然な発想ではあります。

お客様から見たIFAの分散のデメリット

誰と何を話したかを忘れる

IFAを分散したはいいけれども、お客様自身が、一体誰にどんな話をどこまでしたかが分からなくなる可能性があります。IFAから見れば会話が途切れているので、行間を読むのは簡単ではありません。それぞれのIFAにどこまでのことを話したのかは覚えておく必要があります。

全体最適の提案は受けられない

各IFAに与えられた情報は部分的で、もちろん全体を知ろうとは努力しますが、やはり限界があります。与えられた情報の中で、結果的に部分最適のソリューションが提供されている状態になります。保険であれば重複するものに加入していたり、運用であればあっちで米国株を買い、こっちでも米国株を買うという二重のコストに繋がったりします。パートナーシップのようなものがIFA同士にあればまた違うかもしれませんが、その領域にはまだまだ遠い気がします。

IFAの立場から見た、IFAの分散における課題

お客様からの情報の非開示

IFAとはフィナンシャルアドバイザーです。つまり、財務状態に関してアドバイスを提供します。ただし、情報をいただくにあたって、個人情報保護のコンプライアンス以上に、お客様との信頼関係が非常に重要であることを私たちはよく分かっています。人によってはご家族の話はなさりませんし、また別の人はご自身の事業の話を私たちとはしません。たわいのない呟きのようなご相談をいただくようになって初めてフィナンシャルアドバイザーとしては成功のような気がしています。そのためには私たちのことをただの業者やセールスパーソンではなく、一人の人間として知ってもらうことも必要だったりしますね。その意味で、IFAをもし分散されていた場合、このプロセスは一層難しくなる可能性があります。一人のIFAにおんぶに抱っこというのもリスクがあるというのは分からなくもないですけれども。

カルテの不在

私たちIFAにとってお客様の契約情報は医者にとってのカルテと同じです。複数の病院を回ってもカルテが共有されないのと同じで、私たちIFAも顧客情報保護の観点からも、お客様の情報を共有したり、引き継いだりはしません。ただ、病歴とは異なって、契約証券は目の前にありますから、概ねのことは理解ができるというのは救いかもしれません。それでも、違う病院を訪ねたら一から診察が始まるのと同じように、やはりIFAも一からお客様の情報を積み上げていきます。違う病院に行った結果、違う診断結果になるのと同じように、なぜ前のIFAはこの提案をこのお客様にしたのか、全然腑に落ちないということは起こります。なので、長くお付き合いできるほどやはりIFAにとってもやりやすいのです。

保険業界としての難しさ

投資商品はともかく、保険商品の場合、多くは契約が取れた段階でコミッション(販売手数料)が保険会社から支払われます。かつては完全ワンショットだったものが、分割受け取りになったりはしているものの、そもそもの保険契約は20年以上もあったりするわけで、IFAはその間の全てのサポートをこのほぼほぼワンショットコミッションにより請負うことになります。ただ、途中で別のIFAに移管したとしてもそのコミッションをIFA同士で分け合うということは起こりません。したがって、移管を受ける側はサポートを請負うにも関わらず、一切の手数料はいただかない、いただけないという構図ができあがります。その意味で、移管を前提に考えるよりは、最初に十分IFAを検討して、気に入ったところに落ち着くのが大事なのではと思います。

最後に

複数のIFAと付き合うというのはお客様自身の決断ですから、私たちとしてはフェアな状態でお話ができたらと思っています。日本でも少しIFAという職業の人が増えてきているという話もありますから、様々なタイプのIFAが登場することでしょう。継続課題と思っていますが、この記事の内容が皆様のIFAとの付き合い方の参考になれば幸いです。

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