資産運用のことは誰に相談するのがいいか
資産運用のことは一人で考えていても埒が明かないことも多い。思い立って誰かに相談する際に、相手によって提供される情報が異なることを知っておこう
資産運用の相談にあたっての心構え
私のところを訪ねていらっしゃるお客様も、当初は多くの方がこの疑問を抱えていらっしゃったことでしょう。直接この疑問に答える前に、資産運用の相談にあたっての心構えをまず2点まとめてみたいと思います。
①なぜ資産運用に関して相談しようと思ったのかという動機は明確にする
この記事を読んでいただいている方もきっとそうですが、何も動機がないのに資産運用に興味を持つことはないでしょう。老後のことが心配になった、もっと収入が欲しい、自分で考えていても埒が明かない、等、事情は様々でしょうが、必ず動機があります。
資産運用のことを調べ始めると、用語が難しい、何をしたらいいか分からない、等、頭を悩ませることはたくさんあります。人によっては知れば知るほど面白いと思う方もいらっしゃいますが、いずれにしても、資産運用というツールそのものに苦悩しすぎないことをここではお勧めしたいと思います。ツールは上手く利用すればあなたの人生を豊かにしてくれるかもしれませんが、所詮はツールですから、それによって人生が豊かになるのか、お金に関する不安がなくなるのか、等、動機に対する答えや結果が返ってくることが一番大事です。
FXはワクワクする、ビットコインは間違いなく上がる、といった気分の高揚は資産運用の一つの楽しみ方かもしれませんが、手段を目的化してはいけないのです。
②資産運用を必ず始めなければ、と思って焦って決断をする必要はない
動機がある人にありがちなのですが、資産運用は絶対した方がいいから、相談した後は必ず何かアクションをしようと決めている人がいます。
これ自体は悪いことではありませんし、多くの場合、資産運用がお金に関する強力なツールとなることは、弊社としても太鼓判は押したいところであります。ただ、資産運用は本来的には長期戦ですから、商品は逃げも隠れもしないし、アドバイザーも逃げも隠れもしないのです。ゼロから資産運用を始める人の背中を私たちが押すことはあっても、焦ってそこで決断しなければならないというものでもありません。ご自身のペースで納得するまで悩めばいいし、納得できなければ質問すればいいのです。時間が経って、あのときやっておけば良かった、と思い直すこともあって良いのです。
資産運用の相談をする相手
さて、この2つの心の準備をした上で、資産運用のことを誰に相談するのがいいのか、という話をしたいと思います。
1)家族
そもそも資産運用は個人の話なので、家族には相談しない、というスタンスの人も少なからずはいらっしゃいます。
ただ、往々にしてご家族の将来や資産の設計の話になるので、その時点で「いや、まだ家族には話していないです」という状態は少しもったいない気がします。大切なパートナーが自分に何の相談もなく、色々進めていたらそれだけで不安に思う人もいるでしょうし、結論ありきで家族会議が始まったとしたら、頭ごなしに反対をする、ということになりかねません。
家族に相談をしても資産運用におけるソリューションを提供してくれるわけではありませんが、単純に理解を得ておく、というのは大事なことのように思います。
2)友人
友人に対しては一番気を遣うことなく色々な話をする人が多いのではないでしょうか。仕事仲間、経営者仲間は特に境遇も似ていて、情報交換をすることで役に立つことも多いですし、ひょっとしたら競争意識も湧き上がりやすいかもしれませんね。友人から信頼できるアドバイザーを紹介してもらった、という人は珍しくはありません。
ただし、多くの場合、その友人はあなたよりは詳しいかもしれませんが、その資産運用のアドバイスを仕事にしている専門家ではないことは忘れてはいけません。
3)セミナー講師
相談してみる人がいない、となったとき、勇気を出してセミナーに参加し、何かヒントを得たい、と思う人もいます。
有料、無料、テーマも様々ですが、セミナーは入り口にすぎません。もちろん入り口に入ってそのまま出ていくということは自由ではありますが、セミナーが面白くなかった、中身が薄かった、という場合、恐らく期待値が高すぎた、ケースの方が多いような気がします。
セミナーは多数でかつ匿名の人に向けて発信しますし、2時間くらいで伝えられることはその片鱗でしかありません。期待していたものを得られなくても、その後味を大事にして、次のステップに進むことをお勧めします。
4)保険の外交員
最近はインターネットで保険に入れたりするので保険の外交員を知らないという人もいるかもしれませんが、日本人の場合、多くの方が何がしか保険に入っています。この状態が良いのか悪いのかは置いておいて、もし担当者がいるのであれば、まずは話してみることは選択肢かもしれません。
外交員にとっては(営業のチャンスなので)「待ってました」の状況ではあるでしょうから、親身に相談に乗ってくれるか、あるいは保険以外の選択肢も提供してくれるか、を探ってみるのも大事かもしれません。
5)銀行
資産運用はお金に関することなので、銀行に行けば解決する、と思っている人は少なくありません。ただし、資産運用は業務で言えば証券業にあたりますので、銀行に行くことは必ずしも必要ない、ということは覚えておくといいかと思います。
一方で銀行に相談に行っても門前払いされるか、というとそうではありません。銀行にも「ローカウンター」と呼ばれる、ゆっくり資産運用などの相談をするスペースがあります。
ただし、繰り返しますが、資産運用は銀行の根幹である銀行業ではありませんから、提供される商品が本当にいいものなのかはこれも判断が必要です。
あとは、富裕層であればプライベートバンクと呼ばれる、富裕層専門部隊を持つ銀行を訪ねる人もいるでしょう。
6)証券会社
銀行と違って、街中にある証券会社を訪ねていく、という人は今の時代では少ないかもしれません。特にネット証券が随分広まりました。
それでも、上場企業の役員になったり、ニュースで取り上げられたりすると、それを見つけた証券会社の人間から電話がかかってきて、根気強さに負けてお付き合いを始めた、という人はいるでしょう。証券会社の人間はもちろん資産運用においてはプロです。
ただし、会社に所属している以上、どの証券をお客様に勧めるかは会社の判断が挟まったりしますし、「お客様に合うものか」というよりは「儲けられそうか」という尺度の方が影響することもあります。もちろんいい証券会社の担当者というのはたくさんいます。
7)フィナンシャルプランナー(FP)
もう少し個人的なお付き合いを希望する場合、国家資格を持つフィナンシャルプランナーを探すという選択肢はあります。
多くの場合、保険会社や証券会社で働いていた経験がある人が、フィナンシャルプランナーをしていますので、その点では良いアドバイスをくれそうです。商品の仲介をする人もいれば、単純にアドバイスを提供するだけの人もいるかと思います。まるっと「FPさんだったら大丈夫」と思うのではなく、それぞれの活動に対して正式な資格を持っている人かは確認する必要がありそうです。また、資格を持っていても、知識や経験の深度には人によって差があるでしょう。能力的にも相性的にもいい人に会えれば一生の付き合いになるかもしれません。
ただし、フィナンシャルプランナーの場合、お子さんや家庭のことには寄り添えても、事業のことまで幅広く面倒の見られる人は決して多くないと思います。
8)独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)
最後に私も属するIFAですが、一般的には金融商品仲介、アドバイスや預かり資産運用のライセンスを保有しています。M&Aのお手伝いをするファイナンシャルアドバイザーもいれば、傍らで事業投資を行う場合もあり得ます。それぞれ必要なライセンスを保有しており、独特の事業領域で活動しています。フィナンシャルプランナーのように個人の人生相談にはもちろんのりますが、経営の相談も多いです。初めからIFAで働いているというよりは、証券会社にいた人、資産運用に携わってきた人など、経歴が様々なので、こういったところからも一人ひとりの強みが見えてくることでしょう。
インターネットの情報に頼りすぎず実際に話すことも大事
さて、ここまで見てくると、相談できる人は意外に多いと感じていただけたのではないでしょうか。今の時代、インターネットを通じて得られる情報も確かに多いですが、是非色々な人と実際に話をしていただくことが大事だと思います。皆様の資産運用生活が気持ちよくスタートできることをお祈りしています。