弊社なら10億円をどう運用するか – ケース2 – パソコン輸出業を営むOさん(56)

古いパソコンを輸出しその保守管理でビジネスを成功させたOさんのケース

家族構成(運用開始時)

ご本人(56) – パソコンの輸出、サポート、IT人材派遣
奥様(54) – 会社役員
お子様2人 (兄、弟) – ふたりとも成人

資産(運用開始前)

現預金 – 10億円
有価証券 – 2億円
不動産(自己居住用含む) – 1.2億円

ストーリー

以下クライアントへのインタビューをもとに、アドバイザーが作成。


型落ちパソコンや倒産した企業からパソコンを安くで仕入れてチューニングし、新興国、たとえば中国やインド、アフリカに輸出する会社を経営しています。

パソコンってみなさん3-4年くらいの頻度で買い換えますよね。でもそのパソコンは実はまだまだ動きます。数年おきに新しいOSにアップグレードすると重くなって動きが悪くなるように感じるのですが、あれは買い替え需要を喚起するためでもあるんです。でも昔はよく「CPUがこんなに速い!」みたいな宣伝でパソコンを売り出していましたが、CPUの速さを売りにした売り口上って最近聞かないでしょう? 最近は何でもクラウドでできるようになって、動画の編集など特殊な作業をするのでない限りパソコンに高い計算能力が要求されなくなっているんです。以前のようにパソコンに業務ソフトをインストールして作業する時代は終わり、ブラウザさえあれば大概の作業はできるようになりました。今やマイクロソフトのワードやエクセルもソフトをインストールせずブラウザだけで操作する時代です。

ブラウザさえあれば仕事ができるので、OSはウィンドウズやMac OSでなくても構わない。そこで私たちは無料のLinux(リナックス)というOSをいれ、その上でブラウザをインストールして出荷します。複雑な作業をするのではなく、かんたんな作業、たとえばコールセンターや入力事務などであればパソコンの中にブラウザをインストールし、クラウドの業務ソフトをブラウザ上で操作できれば仕事できるようになります。Linux自体は無料ですし、何より高速。たとえば5年前の低いスペックのパソコンにインストールしてもサクサク動きます。私どもはまだまだ動くのに買い換えられちゃったパソコンを特別なルートを使ってほとんどタダ同然の価格で仕入れ、Linuxを入れてチューニングをし、これまたタダ同然の価格で売ります。チューニングといっても慣れれば誰でもできるものですから、バイトさんを何人も雇ってパソコンを外面を掃除し、Linuxをインストールして出荷します。

パソコンをタダ同然の価格で売るので、それだけでは赤字です。そこで私達はそのパソコンの保守管理費用をいただくのです。流行りの言い方をするとサブスク・モデルですね。弊社のクライアントは南アフリカからアルゼンチンまで世界中に散らばっておりまして、各国にサポートデスクを置き技術者を常駐させています。OSのLinuxは無料で手に入りますが、機能追加、セキュリティの加減に技術力が必要です。技術力のある人が社内にいれば特に難しいことではありませんが、新興企業であればIT担当をおく余力もなかったりしますし会社によっては一時的にだけ入力業務などでパソコンが必要で、パソコンを購入し資産として抱え込む必要がない会社もあったりするわけです。そういった会社に私たちが月極やプロジェクト単位で費用を頂きます。

このサブスクリプション・モデルで大きく稼げるようになりました。またそれと平行して技術者を企業に派遣する人材派遣も始めました。世界的にIT技術者は供給不足ですからまだまだ会社には成長余力があると感じています。この5年の税引前利益はコンスタントに3億円を超え、役員報酬と株式配当の両方でその利益を受け取っています。が、それでも税金が重く自分が死んだらこの上また相続税まで取られるのかと思うとぞっとしています。日本で生活している以上日本の税金を支払うことは当然の義務だと考えていますが、それにしても日本の税金は懲罰的にすぎると考えています。

実は数年前、香港に移住しひとり暮らししたこともあるんですよ。数ヶ月住みましたが脂っこく甘みの強い中華料理が口に合いませんでした。50を過ぎると晩飯も納豆ご飯とメザシ、味噌汁でいいんですが、香港だとそれすら遠くにある日系スーパーに行って調達せねばなりませんから億劫で。また香港で気の合う友だちもできませんでしたし寂しかったです。香港に定住してしまえば年間何億円か得するかもしれませんけど、郷愁はおカネで買えませんでした。

ただ仕事はリモートでもできるということが分かったのでそれは収穫でした。香港に一時的にでも住んだおかげで部下に仕事を任せざるを得なくなり、無駄な業務が省かれ、意思決定プロセスも単純化され、結果として仕事のスピードは格段に上がったことは事実です。英語には不自由しないので世界中を転々とするパーマネントトラベラーみたいな生活もアリですが、まだまだ仕事が楽しいのであと10年は日本でガッツリ仕事をしようと思っています。必要な節税はしたいですが、税金のためにわざわざ居を転々とする生活はゴメンです。

資産運用ニーズ

現在の会社はITサポートをしたりIT人材派遣をしたりと、最初に多額の資本を投入したりする仕事ではありません。「商売はできるだけ小さく始める」というのが私のモットーですから、今後も何億円も初期投資してプロダクトの研究開発からやるといったような、大きな商売をすることは今後もないでしょう。

銀行借り入れもないのに、金融機関とのお付き合いでへんてこりんな名前の投信を買わされたりしてますが中身を確認したことはほとんどありません。証券会社の方ともお付き合いはしていますが日本株、しかもブルーチップばかりです。私がIT企業を経営してるのだから投資先も新興IT企業へ積極的に投資をするのだろうと思われるかもしれませんが、昔から造船とか製鉄とかロマンのある重厚長大産業が好きで騰落の激しい新興IT株には食指は動かないです。

また生活費も収入の割には少ない。昔はカッコつけるために地元の後輩を連れて夜の街を飲み歩き月に何百万も使うバカな生活をしていましたが、今ではすっかり落ち着いてしまいました。趣味といえば、キャンプと釣りくらいなのであまりおカネもかかりません。もう若くはないのでかつてのような派手な生活はできないし、したくもないですね。

自分が死んだら、個人の金融資産はどこかに全額寄付しようと思っています。まだどこに寄付するかは決めてませんが、子供の貧困や虐待問題には昔から強い関心があり今は地元のボランティア・グループの活動費をサポートしています。とはいえ年に4-5万円程度ですけど。行政主導のボランティアグループなのに備品代や交通費、打ち合わせのときのコーヒー代も支給されないそうで… 見るに見かねて、っていう感じです。自分がとっても幸せな子供時代を過ごせただけに、そういった問題の存在が許せないんですね。本当はもっと大きく寄付したいのですが、これからじっくり考える時間をとっておカネの寄付先を決めたいです。

御社には大きくリスクをとることはしなくていいので、世界の成長についていくくらいは着実に増えるような運用方法を考えていただきたい。日本は世界の中で相対的にどんどん貧乏になっていますが、日本の国力低下と平行して自分の円資産の購買力も低下するようなことは耐えられない。10億円運用するとして、1%の利回りが違えば毎年1,000万円の違い。恵まれない子供の食費に毎月1万円かかるとして、年間1,000万円増えればおよそ80人分の子供のお腹を満たすことができる。今のボランティア・グループがみている子どもの数が40人前後なので、0.5%の運用利回りに相当します。自分にとって運用利回りは単なる数字ではなく子供たちを笑顔にできる指標でもあるのです。

事業承継・相続準備ニーズ

きちんと経営する意思もないマンション経営や、住みもしないタワマン購入なんかでセコく相続税を浮かせるくらいならドーンと大きく相続税を支払うほうが性に合っています。また何よりいつ変わるかわからない相続税制を気にしなくてすみます。

目下の悩みごとといえば、事業承継。技術者あがりで商売のセンスもある長男に家業を継がせるつもりでいるのですが、私の育て方が悪かったせいか次男との折り合いが悪い。私が死んで相続が発生すれば私一人が100%保有している会社の株式を分割しなければいけなくなるかもしれない。そうなると兄弟喧嘩ばかりでいずれ会社もたち行かなくなります。

今のところ会社の株式は100%長男に継がせるとして、次男に同等の資産を相続させるが公平かなと思っています。とはいえ多額の現金を次男が手にすることになって、そのせいで道を誤りはしないか心配。ほとんどの中小企業の社長は自分の子どもに帝王学を学ばせたりはしてません。人の上に立つとはどういうことか、おカネを持つと外にどういう責任が発生するのかを知らずにただ現金を掴ませるのはどうかと思っています。息子たちは社会人になってまだわずか数年なので、このあたりはもう少し成長を見守らねばなりません。

ちなみに妻より私が先に死ぬとしても妻は会社の役員として残ってもらうので生活を心配することはないでしょう。また妻個人には老後の生活を支えるだけの十分な資産を残すので、妻の性格からいって遺留分を請求したりはしないと思います。

AMGからの提案

事業ドメインの統括拠点リストラクチャリング

納税意識というのは繊細な問題だ。「経営者である以上、しかるべき節税をしより多くのキャッシュを手元に残すのは当然のことだろう」と考えるのは早計で、「自分の能力を活かしてより多くの税金を払おう」という方もいらっしゃるのだ。すなわち限界まで節税に意欲を燃やす経営者と1円でもたくさん日本に納税したいという経営者の両方がいるのである。前者に「より多く『納』税しましょう!」と言い後者に「より多く『節』税しましょう!」と言ったら帰ってくるのは同く「バカ言うんじゃない!」というお叱りだ。

IFAとしてまず思いついたのは、香港を起点とした全社的な節税である。すでに売上の80% 以上を外国で稼ぎ出しているし、O氏が日本居住者であってもタックスヘイブン対策税制をクリアする要件は揃えられそうだったからだ。香港法人を統括会社として輸出、ITサポート、人材派遣と事業ドメインごとに分社化しグループ会社全体として効率的に節税をするというオーソドックスな方法である。

このOさんにそういったことを一番最初に提案し、顧問税理士とも協議の上でプランを実行に移した。通常、監査法人の会計士でもない限り日本の税理士は海外の税務にうとい。OさんのケースはOさん独断で判断し実行することもできるが、創業者個人が後になって税理士が茶々を入れてくることが多いので早めに顧問税理士と話しておくことが得策だ。

資産運用ポートフォリオ

この「安定した定期預金的な運用」を求める層は非常に多い。資産運用をする方が必ずしもジェットコースターみたいな運用を望むわけではないのだ。ましてやこの資金が将来Oさんのボランティアの活動に使われるかもしれないことを考えると、自然とポートフォリオも保守的なものに傾く。格付の高いものは現物で保有し、クーポンの取れる格付の低いものはファンド、ETFで運用するというスタイルになるだろう。

当初は総額でUSD5,000,000、そこから積み増して現在USD10,000,000前後である。

銘柄ウェイト
現物債券7つ70%
債券ETF アメリカ20%
債券ETF グローバル10%

私どもIFAはクライアントの運用オーダーを受けてポートフォリオを組む。それは単に「3%前後」というごく表面上のこともあれば、このOさんのように「子供のお腹を満たしたい」というご自身が大切にしている価値観からにじみ出るものまで様々だ。ただ、血の通ったポートフォリオにするためにはやはりその投資家の価値観にまで踏み込んでいきたいといつも思う。

相続・事業承継対策

Oさんの場合、個人資産はすべて寄付し法人は長男に残すという判断をされていた。ただ、こういった判断は後で覆ることがよくある。長男に継がせる気でいても、その後長男のほうで別にやりたいことが見つかったり、逆に社内の生え抜きに後を継がせることがあるかもしれない。

頻繁に変化するものではないものの、変化したときのインパクトが大きいものについては「変化すること」自体をプランに織り込んでいく必要がある。事業譲渡の相手はもちろん、途中でM&Aして誰にも継がせないことになるかもしれない。しかし、資産がありそれに相続税がかかることは確実なのでその対策としてOさんを被保険者とし生命保険を購入しておく。掛け捨てではなく貯蓄性の生命保険ではあるが、利回りが3-4%出ることもあり保障プラス定期預金として考えられる。一義的には納税資金を確保するために生命保険を買うのだが、必要なくなれば解約したっていい。

保障額支払満了期間保険料 / 年
USD5,000,0005年USD310,000

IFAには個人的なことを話せ

「IFAに最初は何を話せばいいのか」と疑問に思われるかもしれない。これは日本人のお客様に特に多いのだが「まだまだ金融については勉強不足でして…」とか「よく分かっていないのですが…」というふうに謙遜される方はけっこういらっしゃる。体感的には3人に1人といったところだ。

こういう方は「IFAと専門的、技術的なことを話した上で自分に合った金融商品が選択されていく」と考えているのだろう。

では3人のうち2人は金融について勉強が足りていてよく分かっているかというと、まったくそんなことはない。IFAはクライアントに対して同じ専門領域でお話することなぞこれっぽっちも望んでいないし、クライアントのほうからIFAに歩み寄って良い印象をもってもらう必要もない。医者が患者に医療知識を求めないのと一緒だ。

IFAは訓練されているので、目の前のクライアントとの何気ない会話から許容できるリスク量をある程度想像できる。それはご自身の事業経験であったり投資経験であったりする。両方ない場合でも弊社に相談に来られる方であれば様々な金融商品に興味をもたれているはずだろうから、どういった金融商品が好き(嫌い)か、あるいはなぜ大事な資産をリスクテイクさせようと考えたか、という個人的なことをお話していくといい。

というか、IFAはむしろ個人的なことを聞くことしか期待していない。そこから想像を膨らませて現実のプランに落とし込んでいく作業をする。それが個人的なものであればあるほど、血の通ったプランになる。経済金融談義をクライアントとすることはもちろんあるが、それは茶飲み話であってあくまで本質ではない。

Oさんのように、ご自身が依って立つ価値観をしっかりとお話してもらえることでIFAはプランがその方に合致するかどうかを含めて想像することが可能になる。「あの方ならこういう運用アイデアは好きかもしれない」みたいな発想ができる。

IFAをめいっぱい働かせるには、金融のお話ではなく個人的なお話をどんどんしたほうがいい。

QRコード https://amgwm.jp/3bAwgDW

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