ゴールドを買うなら目的を明確に、卵は複数のカゴに

分散投資することを「卵を一つのカゴに盛らない」というが、ことゴールドとなると理性が吹っ飛ぶのか。

「ゴールド、まだ上がりますか?」
「ドル安のヘッジとしてゴールドは保有しておくべきでしょうか?」

ちょっと懐かしい気持ちになった。

ちょうど2010-11年ごろも同じようなことを繰り返し同じ質問を聞かれたからだ。とはいえ10年前はもっと極端な方が多かった。「有り金を全部ペーパーゴールドあるいは金鉱山株に突っ込みたいのですが」というような荒っぽいことを聞いてきた、あるいは実際にしていた方が少なからずいた。今回はなぜかマイルドだ。アドバイザーとして、分散投資の価値を繰り返し言ってきたのが少しは伝わっていたならいいな…

さて、金価格が急上昇している。USD2,000に届きそうな勢いだ。


投資家がゴールドを買う理由は複数あれど、ゴールドの投資目的ほどアテにならないものはないと思っている。ネットで言われるような「だからゴールドを買いなさい」という理由はこの2つだろう。

  • 対ドルヘッジ
  • インフレヘッジ

それぞれ、果たして有効なのか。

対ドルヘッジについて

ドルが弱含みしている中でゴールド価格が上昇しているので、「やっぱりゴールド投資はドルヘッジに有効なんだな」と考える向きもあると思う。しかしこれは繰り返し歴史が否定しているところだ。短期的には正しいことでも、資産運用として見るべき期間すなわち数年以上ということになるとそれは否定されている。

額面の金価格と、ドルの強/弱で金価格を割ったものを比較したグラフだがもしドルヘッジになっているならこれらは逆相関を描くはずだ。しかし実際には順相関となっている。ゴールドはドルヘッジにならない。

2. インフレヘッジ

また米中央銀行がこれだけドルを刷っているのだからいずれ高いインフレが起きてますますゴールドが買われるだろう、というのも間違っている。リーマン・ショックの後に金価格は一時的に上昇した。しかし2012年から急落している。上昇している時はまた「ゴールドは実需があるので底堅い」みたいな言説も飛び出す。しかし結果はご覧のとおり、底堅くない。

なぜなら、ゴールドも単に投機の対象となっているからだ。実需のある最たるものである石油価格がそうだ。2014年、ようやく本格的な景気回復が始まろうとしているときに暴落。今日と明日で石油の消費量が半分になるわけではないのに、あれよあれよと言う間に暴落した。ゴールドもオイルも、投機的なマネーの狩り場になっているだけなのだ。

では対ドルヘッジやインフレヘッジをしておくにはどうすればいいのか。バカの一つ覚えのようではあるが、株式と債券をまんべんなく持っておくといい。十分に分散されたポートフォリオにではインフレより高い利回りをあげられるし、米国株以外の資産を保有していればドルヘッジにもなる。

ゴールドが苦手なワケ

ちなみにリーマン・ショック後にゴールド投資に火がついたのは、7,000億米ドルもの緊急財政支援が発表されたからだ。当時は「米ドルへの信任はついに揺らぐか… 」なんてバカなことを考えていたし、僕もゴールド投資が果たして良いかどうか決めかねていた。当時、クライアントにゴールド投資について肯定的でなかったのは単純にその尺の長さで、1980年に金価格が高騰してからというもの30年近く値を戻さなかったことにある。

株式市場では、先進国新興国どこかで運用していれば30年よりはるかに短いサイクルで騰落を一回転させるが、ゴールドの30年はさすがに長い。およそ通常の資産運用における時間軸とは合わないだろうと感じたのだ。

今回はリーマン・ショックを遥かに上回る規模の3兆ドルを、しかも数週間で放出した。また米中の関係が急激に悪化していることもありゴールドが上昇するのも仕方がない。

しかしゴールドに投資をすることがダメだと言っているわけではない

ゴールドが投機的な理由で買われているのだから、投機的にゴールドを保有するのは何ら間違っていない。ゴールドを買うときの目的が、インフレヘッジだとかドルヘッジという目的を達成するならゴールドへの投資は期待を裏切られることになりがちだ、というだけだ。

アドバイザーから投機的な運用をオススメすることはないが、投機的な資産運用とわかってゴールドを買うクライアントを止める理由はない。

ただ、僕個人的な意見としてはやはりゴールドへの投資は苦手だ。先に挙げたような理由以外にも、リーマン・ショック後の量的緩和をしたのにゴールド価格は暴騰した後に右肩下がりとなった。住宅CDSで一躍有名となった伝説のヘッジファンドマネージャのジョン・ポールソンですらゴールドの右肩上がり幻想に取り憑かれて後に大損している。結局は投機マネーはそのタイミングでの投資テーマに左右されるわけで、金融緩和によって株式やら債券やら不動産やらがより上昇しそうだとなるとマネーはやはりそちらに向かうものなのだ。

そういう意味でゴールドはビットコインと似ている。その存在自体が価値保存の手段として信任を得ているが、株式や債券のようにそれ自体でインカムを生むものではない。一方でゴールドマン・サックスがレポートしたように、1オンスUSD2,300まで上昇するかもしれない。ニュースで連日最高値更新が伝えられて投資家のFOMOが高まると、やはりゴールドの価格はあがるだろうから、長期的な資産運用というより、投機狙いの方向けだろう。

… どちらにしろくれぐれも全資産を突っ込むことのないように… あくまで分散投資でお願いします! 🙇‍♂️

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