ボラティリティ急上昇から学ぶ資産運用へのインプリケーション

世界の株式の大きな変動を目の当たりにして驚く人も多いが、ボラティリティという数値でそれを確認することは大事。ボラティリティの急上昇から得る資産運用へのインプリケーションとは

しばらくの間、ボラティリティが高い状態が続いています。2020年初めの市場展望では、ボラティリティの上昇の可能性について触れましたが、実際は私にとっても想像以上のものでしたし、これからどこへ向かっていくのかは今すぐ見通しづらい状況でしょう。仮説を持って臨むことは常に大事なのであえていくつかの可能性について探ってみることにしましょう。

ブログ:2020年の金融市場を展望する

そもそもボラティリティとは何か

馴染みのない言葉だという方もいらっしゃるでしょうからまずは基本から押さえましょう。

ボラティリティとは、価格変動の度合いを示す用語です。ボラティリティにはヒストリカルボラティリティとインプライドボラティリティの2種類があり、ヒストリカルボラティリティは過去の値動きから算定されるものであるのに対し、インプライドボラティリティは未来の値動きの予想から算定されるものです。通常、株式はリスクが高く、債券がリスクが低いと言われるのは、株式はヒストリカルボラティリティが高く、債券はヒストリカルボラティリティが低いということに基づいています。

横文字ばかりで分かりづらいという人は、要は「ボラティリティ=リスク」と思っていただくのが良いかと思います。(←リスクも横文字ですが!!)

コロナショックとリーマンショックとの比較感

前回、コロナショックとリーマンショックの比較感について触れましたが、今回はボラティリティに絞って話をします。

ブログ:コロナショックとリーマンショックの共通点と相違点

ボラティリティはあらゆる資産について存在するのですが、代表的なボラティリティ指標(Volatility Index)である、VIXについてリーマンショック時と今を視覚的に比較してみましょう。いわゆる、VIXはニューヨーク株式市場の代表指数であるS&P500のボラティリティを表す指標で、日本語だと”恐怖指数”と呼ばれています。(当然ながら様々な株式指数に対してボラティリティ指標はあります。)上記のボラティリティの2種類でいうと、後者のインプライドボラティリティに相当するものです。上側が最近のVIXの状況、下側がリーマンショック時のVIXの状況です。一時的な上昇は時折ありますが、平時のVIXは10-30くらいです。

気づいていただきたいのは、水準感がリーマンショックに近づいてきているということに加えて、「ボラティリティが高い状態が継続している」というポイントです。何か突発的な市場イベントがあり、一時的に株価が急落する場合、もちろんボラティリティは上昇しますが、持続性はありません。ただ、数週間を経て分かったことは今回のコロナショックにおいてもボラティリティの高止まり(持続性)が確認されているということです。こうなって来た場合、局面は少し変わったと言えるでしょう。これにより言えることは、株価がもっと下がるということではなくて、「株価が乱高下する状態はもう少し続く」可能性があるということです。

株価/債券価格の上昇/下落を追いかける思考を一旦停止してみる

投資家は当然のごとく「勝てる投資」を探し続けます。上昇/下落という尺度ですね。しかしよく考えてみましょう。ボラティリティが高い状態というのは要は相場が乱高下している状態のことです。そもそも乱高下しているものに対して「勝てるかどうか」という思考で挑むことにどれだけ意味があるのでしょう。明日は勝っているかもしれませんが、明後日は負けているかもしれません。ボラティリティを知るということはあなたが置かれている環境について客観的に知るということです。船を浮かべるのが同じ海でも荒ぶれる海なのか穏やかな海なのかを把握することは大事です。海が荒れ始めたのなら帆をたたみ、錨を下ろすことを考えねばなりません。あるいは大波が来ても上手くバランスが取れる船なのならば航海を続けることも可能かもしれませんね。

長期投資家にとってボラティリティの上昇は悪夢でしかない

証券会社にとっては投資家から注目を浴びるときが書き入れ時です。普段は必死で営業をし、興味を引かなければならないのですが、ボラティリティが高いときは自然と興味を持ってくれ、あるいは投資家側から問い合わせてくれるからです。また、流動性が低下すると取引毎の手数料を取りやすくなりますし、売買を短期間に繰り返してくれる可能性も高まります。もちろん、投資家であるあなたのことを本気で考えてくれる担当者も中にはいますが、損切りや押し目買いの取引の誘惑に負けてしまうことが最良の結果を生むとは限りません。「流動性が低い=コストが高い」ですから、せっかくコストを安くインデックス投資に挑んできたはずなのに、ここで方針転換をすることがあってはなりません。

関連記事:JPモルガンやシティ、株式デリバティブで増収 – 新型コロナの混乱に – Bloomberg

ボラティリティはいつか落ち着くものである

歴史にならうならば、ボラティリティが低い状態が平時であり、それは必ずいつか訪れます。リーマンショックの後ですらちゃんと金融市場は落ち着きました。いつもいつも金融市場に行列をなして取引を今か今かと人が待っているわけではないのです。

例えば、皆さんの中にも、マスクを買うために何時間もドラッグストアに並ぶ人もいれば、そんなに並ぶのならマスクを買わなくて良いと判断する人もいますよね。行列がなくなるのは、①売り切れてマスクがなくなったとき、②マスクをどうしても買いたい人が買い切ったとき、③店頭に十分なマスクが置かれるようになったとき、ですね。

今の株式市場はいわば②を待っている状態です。”できるものなら株式市場もしばらくお休み”したいと思っている関係者の方もいるかもしれませんが、これは残念ながらできません。それこそが株式市場の存在意義であり、値動きはあれど①になることもありません。よって、③が訪れるのを待つのみなのです。投資するチャンスを今なのかどうかを迷う人は、値動きを見るのではなく、ボラティリティを見ることによって、あなたが本当に市場に突撃すべきタイミングは今なのか考えてみることをお勧めします。

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