2020年の金融市場を展望する

2020年を迎え、金融市場のメインシナリオとブラックスワンを挙げてみる。米中日それぞれの見通しも踏まえ、1年を安心して過ごすためにできること

2020年を迎えました。昨年は米中通商交渉という非常に大きな市場テーマに振り回された人も多いでしょう。金融政策の出口に着々と向かっていたはずのアメリカでは金利が急速に低下し、債券価格が上昇するなかで、それでも株価は上昇するという状況が続いていました。このような大局の中で、日本の金融市場はどちらかと言えば影を潜めてしまった感がありましたでしょうか。とはいえAMG日本チームのお客様は日本人、ということもあるので、米、中、日それぞれのことにも触れながら2020年の先行きをざっと展望してみることにしようと思います。

1 米中日、2020年のメインシナリオは?

月並みで申し訳ないのですが、2020年のビッグイベントは米大統領選挙です。思い出してみてください、2016年の選挙でヒラリー・クリントンを破り、ドナルド・トランプが第45代アメリカ合衆国大統領に就任したときのことを。その後も過激な発言を続けた彼が、今なお米大統領として世界経済を牽引するアメリカを率い、そして2020年に再選する可能性は高いとまで言われています。幸いなことに米株式市場は上昇を続け、やはり景気が良ければ政権への支持率は高くなりやすいので、再選をメインシナリオとして市場は捉えるでしょう。また、トランプ大統領自身もそれを非常に良く心得ていて、上手く経済成長に自分の姿を重ねて見せているように思います。アメリカ第一主義が続くこと、は2020年のスタート地点かと思います。

かたや中国ですが、こちらは習近平国家主席のもと、社会主義市場経済を標榜して来ました。中国はさりとて建国70年、かの国の歴史を見れば、いつ節目が来てもおかしくはありません。経済成長は鈍化してきていますが、それでもカテゴリとして中国は新興国ですから、緩やかに成長を続けていくことでしょう。発表される中国の経済指標が果たしてどのくらい真実を伝えているのかは分からない部分がありますが、市場開放などの課題こそあれ、成長局面ではあると思います。こちらも中華思想を顕現する国ですから、一帯一路を通じて勢力拡大をし続けるでしょう。とりわけテクノロジー分野の企業には注目したいですね。

二大国という構図を見る人が多いのも事実ですが、実は世界は”多極化”を始めた、というのが実態でしょう。覇権はどこかということ以上に、それぞれの経済圏がぶつかり合うほどに大きいのだということを理解してビジネスをすることは非常に重要かと思います。国際協調の時代のイメージを持つ人も多いかもしれませんが、国連やWTOなど、第二次世界大戦後を支えてきた多くの枠組みがどのように変化していくかに気を配る必要があります。誰が国際協調のテーブルに乗っていて、誰が乗っていないのか、より明確に意識する必要がありそうです。

日本の場合、この”極”の一角を占めているかというと残念ですがそうではないと思います。米中の狭間にいることは明らかですし、経済戦争である限りにおいて、「どちらの陣営につくか」という話ではないので、両者と、そしてそれ以外の地域とも上手く渡り合っていかなければなりません。昨年は日韓関係が話題になったように、政治、経済、国防の話、それぞれが絡み合った課題が山積ですから、東京オリンピックがあるとはいえ、引き続き、日本発の材料で日本の金融市場が動くことは見込みづらいです。

2 2020年のブラックスワンは?

ブラックスワン(めったに起こらないが、壊滅的被害をもたらす事象。たとえばリーマンショック)として見るべきは、国のトップと議会の差が大きく乖離する事態です。一般には国のトップは行政を、議会は立法を担う存在です。三権分立とはよく言いますが、分立しているからといって対立している必要はありません。最も良いのは牽制が効いた状態を保ちつつ、かつ対立するような事態が起こらないことだと私は思います。つまり一方が他方のイエスマンになるのではなく、それぞれがそれぞれの見解でイエスと言えるものが自然とあがってくる状態のことです。議会でハングパーラメントが起こるように、国のトップと議会もまたズレを解消できないことが起こり得て、それは様々なものを停滞させます。

イギリスが一つの例で、国のトップは国民投票の結果に沿って行動をしているつもりでも、選挙で選ばれたはずの議会の構造がそれを進めることは許さなかったわけです。近年はポピュリズムの台頭が叫ばれていますが、選挙という一時の決定プロセスに寄らない恒常的な民意にも一定の配慮をしなければならなくなります。

同じような例が、アメリカでも既に一部起きています。トランプ大統領の弾劾の話も、上院と下院の構成比に違いがあるのでおそらく先には進みませんが、議会としての一つの答えがそこにあることは言うまでもありません。ためらいながらイエスと言っている人たちがずっとイエスと言ってくれるとは限りませんから、このときの変化はブラックスワンでしょう。

2019年を占って「不確実性Uncertainty」を掲げた声は多かったように思いますが、2020年のテーマは「不安定性Instability」だと思います。

メインシナリオが共和党トランプ大統領の再選だとしましたが、選挙前と選挙後でトランプ大統領の政治姿勢が全く同じだとは限りません。民主党から大統領が選ばれるようなことがあれば言わずもがなです。事業にとって社会の安定性が大事でありますが、安定を探していく行為には果てがありません。不安定な中で、賭けをすることなく、どのように舵をとっていけるかが2020年以降は問われるように思います。

3 アメリカの景気は足元良いようだが、再びリセッションの心配をした方がいいのか

昨年のように長短金利の逆イールド状態がリセッションの兆し、とは言われるのは事実ですが、逆イールドになったからその先のリセッションが約束されているわけではありません。また、逆イールドでないからリセッションが起こらないと言えるわけでもありません。

2020年を迎えるにあたって、アメリカは金融政策として非常にフラットな状態に戻りました。とはいえ歴史的に見れば十分に金利は低い状態にあるので、景気刺激という観点からすればやはり追い風ではあるでしょう。そして、時期を見極めながら利上げに向けた下地を作りたいだろうと考えます。リセッションはないまでも、2018年のように株価上昇が抑えられやすい局面に差し掛かることは留意が必要でしょう。

リセッションのトリガーは・・・可能性の話は挙げればきりがないですし、正確なタイミングの予測ができるわけではありません。ただし、資産価格が全般に高騰した今、全面的にさらにポジティブなムードになったときはその後の巻き戻しに注意が必要です。

4 不安定な時代はボラティリティを生むと心得ておく

ボラティリティとは資産の価格変動幅が大きいことを意味するので、買い持ち=バイ&ホールドのスタンスをとる投資家にとってはあまり嬉しいことではないかと思います。こと日本の金融市場は相対的にボラティリティが低い状態になる可能性があるので、海外投資をする日本人の投資家はボラティリティの体感との差に苦しむかもしれません。ボラティリティの高さ=リスクの高さになりますので、既に運用をされている方は、資産価格が上がったり下がったりすることに対して、一喜一憂せず「リスクテイクとはそういうものだ」と思って腹を括っておくか、あるいは予めリスク量を落とすという選択をとるのが良いかもしれません。逆に、これから資産運用を始めようという方がいらっしゃったらエントリーのタイミングは十分練られることをお薦めします。自分では決めづらいという人がいればアドバイザーに是非相談してみてください。

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