2018年の市場展望3/3 – 弊社のポートフォリオ

今回は弊社のポートフォリオの考え方について解説していきたい。長期分散投資で安定した運用を行うには

前々回(1/3)、及び前回(2/3)の投稿の続きです。

弊社のポートフォリオの基本方針

資産運用においては2つの相反する考え方がある。

  1. 集中と分散
  2. 短期と長期

ここでは、どちらの考え方が正しいかと議論するつもりはない。なぜならどちらも正しいからだ。リンゴとキャベツ、どちらを食べるのが正しいかを議論するのと同じで、どちらにも長所があり、その長所は時に短所となる。逆もまた然り。すべてはバランス次第だ。一点集中すれば分散よりも資産が増えるスピードは速くなるかもしれない。同時にすべてを失う可能性もある。長期間運用を続ければ利回りが均されるが大きくは儲からない。

これら集中と分散/短期と長期という議論は神学論争めいたところがあり、最終的に行き着く回答は”投資家次第”ということになる。たとえば造船業界に勤める60代の方がよく知る造船業界の株式を短期で運用しようとするのに私たちは何の抵抗もない。しかし同じことを30代のアパレル業界の方がやるのであれば、私たちアドバイザーはおそらく反対するだろう。資産運用での正解は投資家の属人的なもので、それを離れての抽象的な正解はありえない。

ちなみに私たちAMGのポートフォリオは”長期分散”である。デイトレのような短期集中の資産運用は弊社では提供していない。繰り返すが、集中と分散 / 短期と長期のどちらも一長一短である。投資家自身にあった運用スタイルを見つけることが肝心だ。私たちの提供する長期・分散の弊社のポートフォリオはストライクゾーンは広くとも万人受けするものではないことをはじめに断っておきたい。

株式と債券をメインに3つのポートフォリオ

弊社のポートフォリオでは7-9本程度のファンド(投資信託)をブレンドする。たとえば以下のような具合だ。(このポートフォリオはあくまで一例であって、今現在そうなっているということはない。またこのポートフォリオは弊社の商品の一つの、その中でも比較的リスクを取れる方のポートフォリオを想定している)

アセットクラス 割合(合計100%)
グローバル株式(大型株中心) 30%
グローバル株式(小型株中心) 10%
アジア株式 20%
中国株式 15%
東欧株式 5%
天然資源株式 5%
新興国債券 15%

ご覧頂けるように、この例示ポートフォリオでは7つのファンドに分散している。ファンド選択の基準はAMGのポートフォリオ管理チームが決めたものである。私どもIFAの業務のメインがこの”ポートフォリオを管理、維持する”ということだが、微調整はするとして

米国は景気が良く、中国経済も腰折れせず、各国中央銀行がアグレッシブに金融政策を引き締めないことは分かった。去年も金融市場にとっては大変良い年で今年も去年のような安定した成長が見込める可能性がある。しかし、金融市場は常に経済に対する先行指数であることを考えると、去年の金融市場での成長は今年の実経済での成長をすでに先取りしてしまっている可能性もある。

しかも金融市場は感情で動くもの。足元の経済に大きな影響を与えなくともちょっとしたきっかけで大きく動いてしまうことがあることを考えると、ポートフォリオも様々な考え方を反映させるほかない。多様な考えをいれることは、リターンの獲得という点では効率的ではないかもしれないがその分リスクも分散されるということになる。

また、ポートフォリオはゴールドやビットコインのような内在価値がゼロのようなもの、すなわち投機的なものを中心に据えるわけにはいかない(ビットコインはともかく、ゴールドは貴重なものだという反論があるかもしれないがゴールドが貴重なのは世界中の人が同じ認識を持っているからで、ゴールドを持っていても株式や債券のような配当やクーポンをもたらすわけではない)。

投資性商品を好むクライアントの中でも、リスク耐性というのは様々であるが弊社では大きくわけて3つのポートフォリオ、リスクの高いほうから積極 / 成長 / バランスと3つを提供している。3つ以上に分けることはもちろん可能だが、低すぎるリスクテイクをするくらいなら弊社の元本保証型の商品を選べばいいし、高すぎるリスクを選ぶ方(投機的リスクを好む方)はそもそも弊社の提供する運用メニューではご希望に添えないことになる。

また、このポートフォリオを分ける言い方は「積極」「成長」「保守」だがこれは単にポートフォリオのボラティリティ(騰落)から判断した言い方でポートフォリオについての正解はない。リスクテイクは多分に属人的なものであるからだ。その人によって心地よいリスクが、その人のポートフォリオの正解となる。資産運用で失敗する原因のほとんどは過大なリスクテイクをした結果ポートフォリオのボラティリティに恐れおののいてしまうからだ。騰落の高いものは、落ちるスピードも上がるスピードも高いということになるがそのスピードに心がついていかなくなる。

そして個々の投資家の市況感によってもご自身のポートフォリオのリスクテイクを上下してよい。すなわち市場が悲観的なムードになってくればあえてリスクの高い積極を選択し、その反対に市場が沸騰してくればリスクの低いものを選択するものである。私たちはあくまで「こういうポートフォリオを組んでいますよ」という例示は出来るが、その投資家の市況感までは踏み込まない。「投資なんてしたことありません」という方でも日頃ニュースを見ていればわりとしっかりした市況感を語れたりするものである。反対に、株でもFXでもビットコインでも一点買いでたまたま爆騰したにわかラッキー投資家はご本人が思っているほどに市場をご存知ない。

積極

積極タイプでは、株式の割合が大きい。どれくらいの期間を尺とするかにもよるが株式の割合が大きいポートフォリオでは騰落も高いがリターンも良い。積極的にリスクを取ることのできる投資家はこういった株式偏重のポートフォリオを推奨している。ただし、こういったポートフォリオを選択できる投資家は投資にかける時間もたっぷりなくてはならない。あまりに急いで結果を出そうとすると投機的要素が強くなってしまって市場から十分な見返りを得ることができなくなる。

また積極ポートフォリオでは比較的に値動きの激しい小型株を中心に据える。これに加えてバイオやITのセクターをブレンドしてもいいが、フェイスブックやアマゾンなど時価総額の大きいものは既に大概の株式ファンドに組み込まれているため二重に買うべきかは検討を要するところだ。

成長

成長タイプのポートフォリオでは、社債割合がやや大きくなる。AMGの市況感によるが 債券の割合は通常0-30%程度だ。すなわち市況が悪いとAMGが判断すればこのポートフォリオにおける債券割合は高くなる。債券割合が高くなると必然的にポートフォリオ全体の騰落が低くなり心の平安は得られるが、上昇相場についていけないことにもなる。リスクとリターンは対となっていることから、リスクとリターンのどちらをどれだけ選択するかは投資家の判断となる。

保守

さらに債券割合を増やしたポートフォリオがこちら。もっとも中国株式など、リスクのあるものも入っているので、これよりリスクを下げたい投資家は元本保証タイプのものを選択できる。保守タイプはどのような市況であっても債券を常に保有する。現在は株高局面なのでトータルで30%、多いときにはこれが50%近くになることもある。

最後に

以上の3つのポートフォリオは弊社の一部の商品におけるポートフォリオである。弊社ではこれ以外に様々な商品を取り揃えており、リスクレベルも元本が守られる、利回り3%の非常に低いものから、投資家が望めばレバレッジの効いた、リスクの高いヘッジファンドに投資をするものまである。

これらのリスクレベル決定は、カウンセリングの過程と似ている。アドバイザーとの対話を通じて資産運用とはどういうものかを理解していただき、ご自身のリスク耐性を見極めていく。資産運用を始める前に、この過程に時間をかける方が結果として資産運用がうまくいく場合が多い。具体的には2~6ヶ月くらい。商品説明を聞き、運用のゴールを決める。資産運用はマラソンのようなものだから、八百屋に並んでいる野菜を手に取るように金融商品を手に取るのではなく、むしろしっかりした野菜を育てるくらいの知識と準備が必要となる。

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