オンラインポートフォリオ診療 – 症例②決断に焦りは禁物

ポートフォリオのオンライン診療でリクエストのあった事例をご紹介。2020年は投資家の迷いと焦りをよく聞きます。冷静に投資活動を進めていきたいものです

相談者(Tさん)の概要

  • 年齢:40代半ば
  • 職業:ベンチャー起業家(20代で立ち上げた会社をIPO後に売却。現在は海外を行き来しながら起業家兼エンジェル投資家として活動)
  • 資産総額:約6.5億円

(保有資産内訳)

  • 現物株式 5,000万円
  • 現物債券 1億円
  • ファンドラップ 2億円
  • エンジェル投資 1億円
  • 現金他 2億円

Tさんからの質問とその回答

「Q1:一つ目は株式についてで、私はあまり運用で一喜一憂したくない方なのですが、今回の株式の下落には驚きました。やられたものもかなりありますが今はこれくらい残っています。せっかくなので何か買った方がいいのかと考えている間にあれよあれよと株価が上昇してしまった感があります。今からでも遅くないでしょうか。」

宮脇:今回のコロナショックを投資の好機と捉えて既に動いた投資家は多いと聞きます。実際、市場インデックスで下がっていても個別株式では既に値を戻している、あるいは既に最高値を更新しているものもあります。もちろん、あのとき買っておけば・・・ということは常に起こり得ますが、先のことは誰にも分かりません。二番底が来るかもしれないし、来ないかもしれないです。もし既にお持ちの銘柄で、長期保有を予定されていて、かつ企業への見方が変わっていないのであれば、少し買い増すのも選択肢かもしれませんね。

Tさん:確かに今保有している株式銘柄をすぐに手放すつもりはありません。せっかくなので新しい企業の株式でもとは思っていましたが、焦りすぎても良くないですね。

「Q2:日本を含めて諸外国がヘリコプターマネーというべき未曾有の金融緩和、財政政策に舵を切ったわけですが、流石にやりすぎの面があるのではと思ったりしています。もし、これらの政策の弊害が出てくることがあるとしたらそれは何か、またいつ頃でしょうか。」

宮脇:ご指摘のとおり、各国とも未曾有の事態に対してこれまでにない対応をとっている状況が続いています。中央銀行と政府がこれほど一枚岩になることもないかもしれません。多くの政策は、経営安定化、金融安定化、生活安定化といった、危機の中でも社会が平静を保つことを最優先に設計されていますから、やりすぎるくらいがちょうどいいのかもしれません。ただ、あらゆる政策はいつかはノーマライゼーション(正常化)、つまり出口戦略を迎えなければならないので、その戦略設計が上手くできるかどうかにかかってくると思います。今出口戦略を議論するのは時期尚早かもしれませんね。少し前に行われた米連邦準備銀行のテーパリングや利上げだけでもやり方やそのスピードに多くの議論があったわけですし。

Tさん:急激な金融引き締めは誰も得をしないので、しばらくは金融資産がバブル状態になる可能性もあることは想定しておきたいですね。そうなるとまた急落が起こるのではと怖くなってしまいます。経済がこれだけ悪いと言われているのに、株価が上がっているのは不気味でしかありません。

「Q3:次に債券なのですが、基本的には満期保有のつもりなのですが、このタイミングで何かアクションを起こした方がいいのか考えたことはあって。ただ、自分でも考えがまとまらないのですが、何かありますか。」

宮脇:個別債券について拝見しましたが、このタイミングでは大きく価格が動いたものもありますが、概ね戻ってきています。これも一喜一憂しすぎないことが大事です。債券には満期がありますから、いずれはパー(額面100)に戻っていきます。企業の財務状態や格付けの動向には注意が必要ですが、基本は保有継続で良いのではないでしょうか。

「Q4:ファンドラップについてはとりあえずやってみるかと思って昨年運用を開始したばかりです。正直任せっぱなしなので、あまり気にしていないのですが、やはり株式が下がったので負けは負けといった様子です。これもすぐにどうこうと思っているわけでもないのですが、手数料もそれなりにかかっているので手数料で資産がすり減るくらいなら思い切って解約しようかと考えているのですがどうでしょう。エンジェル投資の方が面白いですし。」

宮脇:ファンドラップにかかる手数料は安くはないので、既にご自身で資産の選択をしてらっしゃる投資もあるので、無理にファンドラップを選ぶ理由もそれほどないかなと思います。一方で、バランスの良い資産選択や適切なタイミングで資産入れ替えをするのにファンドラップは優れている面もあります。リターンが低いと金融機関に相談した場合、よりリスクをとったファンドラップ戦略を薦められるかもしれませんが、リスクをとればその分損失の可能性も大きくなるので、それも慎重に検討が必要です。いずれにせよ投資商品には元本保証という側面はないので、中長期的に見てどういった運用手法がご自身にとってより安心できるかといったところです。損切りは投資家としてはいつかは出会う意思決定です。ただ、損をしたときは人間誰しもアクションをとりたくなるものですが、まずは焦らないことが一番大事です。

Tさん:このコロナショックで投資したいベンチャーが出てくれば積極的に支援したいと思いますし、一方で全部エンジェル投資という年齢でもないかな、ということでその他の投資もしています。投資のワクワク度合いと安心度合いはバランス取るのが難しいですね。

「Q5:ドル円が結構動いた気がするのですが、今後は円高でしょうか、ドル高でしょうか。」

宮脇:確かに急激な円高からの急激な円安があり、少しドル円に注目が集まりましたね。とはいえここ数年の値動きを見てみると、大体1ドル=100〜115円くらいで推移していますので、為替相場としては狭いレンジであることに変わりはありません。もちろん1円動けば1%の動きなので動きが小さいとは言いづらいとは思いますが。Tさんの場合、海外での活動も大きくなってきているようなので、日本円以外の通貨建てでの資産保有は重要だと思います。その際の最初の選択肢はやはり米ドルでしょうか。円高に触れたタイミングがあればドル転(米ドル買い円売り)を考えてもいいかもしれませんね。

総括

今回の相談者様は「迷い」と「焦り」が主な論点でした。このような場合は決断を急いだり、モヤモヤして過ごすことよりも、誰かに話してポイントを整理すること、あとは投資したときの自分に立ち返ることが重要になってきます。お役に立てていれば幸いです。

関連ブログ:オンラインポートフォリオ診療 – 症例①資産アロケーション

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