プライベートバンクを相続対策に使うことはできるか

プライベートバンクが提供する生命保険、資産管理会社、信託などを使って相続対策を行うことはできる。提供サービスをよく知ることと、どの国でサービスを受けるかが大切。

プライベートバンクの利用が相続対策になるかと言われれば、その答えはYesでもありNoでもある。相続対策になるサービスを提供していれば、Yesだしその逆も然りだ。

相続対策になるサービス、生命保険・資産管理会社・信託など

Yesであるのは、プライベートバンクが相続対策にもなる生命保険をあわせて販売しているような場合や、それだけにとどまらず家族会議にまで入っていって相続利害関係人の「気持ち」を整理して相続前後で家族同士が争族化するのを避けるコンシェルジュ・サービスまでやるプライベートバンカーもいる。また、日本では信託銀行などが展開してる家族信託や成年後継人制度の活用も、大きな枠の中では相続対策だし、特に証券会社系のプライベートバンクがまず商材として持ってくるような「資産管理会社」も相続税を安くするという意味では相続対策になる。まとめると、以下のようなアプローチが存在する。

  • 増やす – 相続税納税資金を準備するための生命保険を購入
  • 相続税を減らす – 相続税を圧縮するための資産管理会社などの制度
  • 制度 – 争族化を避けるための家族信託や成年後見制度

ちなみに弊社AMGでは生命保険を提供しつつ、適宜税理士と相談しながら他の制度を利用している。ちなみに日本の信託銀行は、一度信託口座に入れてしまうと運用先が極めて限られてくるため、時々お問い合わせはいただくものの弊社とは相性が悪い。

相続対策になりにくいサービス、資産運用

一方、Noの場合は資産運用業務に特化しそれ以外の付随サービスは提供していないようなプライベートバンクだ。資産運用がプライベートバンク・サービスの入り口だから資産運用を行わないプライベートバンクというのは存在しないが、資産運用業務しか行わないプライベートバンクは数多く存在する。

資産を少しでも増やして相続税納税原資とするという意味では相続対策になると言えなくもないが、相続対策を目的としてプライベートバンクを利用するのであればやはり資産運用以外で相続対策に特化した金融商品やサービスを提供しているところを選ばねばならないだろう。

国内プライベートバンク vs 国外プライベートバンク

ちなみに国内と国外のプライベートバンクに「相続対策」という意味での差はあるのか。これは、もちろん上にあげたプライベートバンク間の「サービス」という観点ももちろんあるものの、「法律」がそれよりも大きい比重を占める。

国内プライベートバンク

日本国内のプライベートバンクであれば、預託財産は日本法に則って相続される。すなわちプライベートバンクであろうがふつうの銀行口座であろうが変わらないことになる。

国外プライベートバンク

日本国外プライベートバンクでは購入できる金融資産はほとんど無限に広がり、それだけ収益機会が増える。しかし日本国外のプライベートバンクは相続においても当地の法律に従わねばならない。特にスイスや香港、シンガポールなどの英米法におけるプロベートの煩雑さについては口座を開ける前に知っておかれたほうが良い。これについては以前記事を書いたので参考にしていただきたい。

関連ブログ:残されたご家族のために。海外相続についてのお話と、AMGでの信託について – 1/2

関連ブログ:残されたご家族のために。海外相続についてのお話と、AMGでの信託について – 2/2

スイスのプライベートバンクは相続対策になる?

ならない。

スイスであってもどこであっても顧客情報を秘匿するどころかOECDの共通報告基準(CRS)の施行でプライベートバンクは自ら当局に顧客情報を差し出すようになった。スイスが軍事的に永世中立国であることには間違いないものの、永世中立国であるから税についても永世中立であるわけがない。銀行にしろ時計にしろスイスという国のマーケティング勝ちな側面がある。スイスのプライベートバンクで運用したら、相続対策になる… みたいな都市伝説が聞かれたのも今は昔。

日本からわざわざスイスに出向き、分厚い手数料を取られながら「俺もようやくスイスのプライベートバンクに口座を開けるようになったか」とつぶやいても、結局は口座情報はすべて日本の税務当局に把握されるし「スイスのプライベートバンクだけが持っているような相続対策」なんてものは存在しない。むしろ日本の税務に対しては何のアドバイスもしないところが多い。

スイスという「見栄」にコストをかける方もいる。ただ、プライベートバンクも単なる金融サービスに過ぎない。たとえばA銀行は定期預金の金利が0.5%、B銀行が定期預金の金利が1.0%であればB銀行に何の躊躇もなく乗り換えるように、プライベートバンクも実利を考えて検討するべきだろう。

関連ブログ:プライベートバンクが提供する利回りを真面目に考える

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