海外から見た今後の日本経済の方向性と懸念点

今後の日本経済の方向性と懸念点。海外から見て、日本経済はお先真っ暗というわけでは必ずしもない。今あるものを糧に、次に来る勝機を逃さないことが重要

公的年金問題、老後2000万円問題、医療費増大などの課題が山積する、高齢社会の代表例たる日本の未来を危惧する人は多いです。失われた20年は失われた30年にいつの間にか延長され、来るはずのインフレは未だに実感を伴いません。人口が減少に向かうなかで、日本経済に明るい将来などあるのか、そんな声すら聞こえてきそうです。

今回は、海外から見た今後の日本経済の方向性と懸念点についてまとめてみたいと思います。意外とネガティブな話ばかりではありません。

今後の日本経済の方向性は?

1 戦争は傍観するが吉

まずはどちらかというとポジティブな話ですが、海外から見て、日本は相対的な魅力が増して来ているのでは、と思うことがあります。外国投信でアジアのインデックスを見る場合でも、Asia ex.Japan(日本を除くアジア)がよく見られますが、そもそもアジアの中で日本は少し違う位置付けを持っていることが確認できます。その理由の一番は先進国(developed country)として認識されていることですね。

ここ数年は米中貿易戦争が注目となり、そしてまた長期化する可能性もあります。いくつかのアジアの国は中国寄り、あるいは米国寄りといったスタンスを表明していますが、日本の場合はどちらかといえば真ん中のポジションを狙っていますし、それが実現可能です。敵対国と認定されれば飛び火は確実なので、巻き込まれずに傍観できれば、様々な経済活動の呼び込みに繋がる可能性はあると思います。選ばれるときは消去法でも構わないのです。そしてそれが、日本経済を支えてくれることでしょう。

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2 製造業の国内回帰

これまで日本企業は海外進出の機運が非常に高かったわけですが、海外との人の往来が減少することで、今後は物理的な進出が少なくなる可能性がありそうです。米国の場合は、製造業の国内回帰を促している一方、日本の場合、サプライチェーンをアジアに依存している面が強いので、同じように国内回帰がすぐに実現するかというとそうもいかないかもしれません。ただ、海外視察をしなければ、相手方に会わなければ進まなかった商談も、今後は遠隔で行う気持ちになることで、海外企業とのアライアンスは少し形を変えて、これまで以上に進むのではないかと期待します。製造業が国内に戻っていくとしたら、日本経済を再び支えてくれるかもしれません。

生産拠点の国内回帰や多元化を政府が支援 – Bloomberg

今後の日本経済の懸念点は?

1 牽引する産業を育てることが急務

もともと「モノづくり大国」である日本にとって製造業は経済の柱でした。先に述べた変化によって、製造業が戻ってくるとしたらそれはプラスではあるかもしれませんが、そもそも何のために海外に出て行っていたのか、を思えば、国内回帰だけで解決はできないことは想像に難くありません。

次に日本を牽引する産業は育っているでしょうか。残念ながら目立ったものはない、という印象についついなってしまいます。観光業はインバウンドの波がありましたが、見通しは難しくなりました。食品や農業、医療にエンタメ、それぞれはジャパンクオリティがありますが、経済規模としては大きくありません。単に優れたサービスを輸出するだけでも、代替労働として海外から人材を受け入れるだけでもなく、ITテクノロジーや金融といった分野で高技能労働者を国内で抱えることで、複数の産業にまたがってジャパンクオリティの価値を増幅させるインフラを構築していく必要があるのかもしれません。

2 外需の取り込み方を工夫できているか

海外に優秀な人材が出て行ったり、あるいは海外で起業したり、といったことはもちろん“日本”を海外に広めるという意味は大きいですが、日本経済の発展には直接貢献はしません。インバウンドの観光業なども、もちろん確率論的に日本を訪れる人が現れるとはいえ、個々の実態はワンタイムショッピングにすぎません。経済成長は”蓄積”と”循環”なので、キーワードは「継続需要」と「価値増進」でしょうか。もちろん、全てが国内に戻ってくる必要はなく、外に出て行った人たちと協力をしながら、「日本経済に貢献するかという視点でビジネスをできるかどうか」が次の勝機かもしれません。

「持てるお金」を如何に増大させていくかがカギ

これは日本に限ったことではありません。例えば、サウジアラビアもこれまでは産油国として国富を蓄えてきましたが、これからはそれ以外の分野で国を立てていかなければならないことを自覚しており、2020年3月の石油戦争を仕掛けた理由はそこにあるとも言われています。絶賛成長中の中国も、海外の企業買収などに精を出しています。それは、敵対的かどうかという点以上に、成熟した社会になるにつれ、成長率が低下することを自覚しているから、でもあると考えられます。

日本の場合はどうなのでしょうか。

ボストンコンサルティンググループがまとめたGlobal Wealth Reportによると、日本における富は世界第3位となっています。日本銀行の発表によるとの個人金融資産残高は1,903兆円(2019年12月末)でしたね。ちなみに、日本の年金基金(GPIF)は資産運用額159兆円(2019年6月末)と、年金基金としては世界最大です。

Global Wealth 2019:Reigniting Radical Growth – Boston Consulting Group

つまり、日本に富はあるわけです。

問題はその「持てるお金」を「稼ぐ力」に変えていけるかどうかだと思います。これまでも日本の対外純資産は多いと言われてきましたが、それが果たして「稼ぐ力」として機能していたかどうかです。

また、資産が大きい以上、それを目当てにビジネスが展開されることは想像に難くありません。

色んな意味でより一層、“投資家としての胆力”が問われるタイミングに差し掛かっているのではないかと思いますし、国レベルだけでなく、個人レベルでもそれが必要だろうと考えます。

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