第2次米中貿易戦争の勃発と投資戦略

コロナショック後の資産運用の注目は第2次米中貿易戦争か。米中それぞれの姿勢から窺える、長期化への覚悟。その手は握手か腕相撲か

アドバイザーの宮脇です。コロナショック後を見据えながら資産運用戦略を練る人も多いと思いますが、今回はその中で注目になるであろう、何ならもう既になっている米中関係のことを少しだけまとめてみたいと思います。

米中「第一段階の合意」とは?

新型コロナウィルスの流行を経て、2019年の米中貿易摩擦のことをすっかり忘れてしまった人もいると思うので、さっと振り返りをしてみます。

米中貿易戦争の”開戦”をいつだったかと考えるならば、それは2018年7月6日の第1弾の追加関税措置とそれに対する中国の報復関税であったと言えるでしょう。その後、両国は何度か”休戦”を経ながら、中国にとっては「貿易摩擦」から「貿易戦争」へと明確に変化し、為替操作国認定などをされつつ、2019年を終えることになりました。

2020年1月15日、米中は包括的な貿易協定の第1段階と双方が位置付ける合意に署名をしました。米農産物などの輸入拡大と一部追加関税の緩和を柱とするものでした。この合意自体は、長引く貿易戦争に翻弄された経済にとって、明るいニュースとして受け止められましたが、新型コロナウィルス流行を経て、果たして履行されるものなのか、再び注目が集まっています。

「新冷戦」だと言い切った中国の心境の変化

もともと、アメリカと中国の一連の戦いのことを「冷戦」と呼ぶ向きはありましたが、2020年5月にも中国がはっきりとこのワードを使ったことは印象的でした。

中国外相、「新冷戦」志向と米国批判 – 時事通信

冷戦とは、軍事力で直接戦うことのない戦争のことです。第二次世界大戦後の1945年から1989年にかけて米ソが行った冷戦はソ連の崩壊という結末により、自由貿易と民主主義の勝利というイメージを全世界に植えつけましたが、果たして今回はどのくらい続き、そしてどのような経路を描くのでしょうか。中国がこの戦いを冷戦と呼ぶのには、長期戦に対する覚悟が窺えます。持久戦を仕掛けながら、さらに国力を増強し、最終的には優位に立ちたい、そんな思いは透けて見えるといったところ。

冷戦を「続ける」ことが両国にとってベストなポジションへ?

もともと米中の覇権争いという見方はされていますが、果たして両陣営は「他方に勝つ」ことをゴールに見据えているのか、というのは意見が分かれるような気もします。冷戦の長期化により、先行きの不透明感が高まると、既に盤石な企業が国内をメインで事業展開する分にはいいのですが、他国企業との新しい事業連携、投資などは上手く進める必要が出てきてしまいます。米中のドンパチの陰で、米中以外の第三国は「漁夫の利」を探し続けることになるでしょう。その中では、様々な国と協調しながら…という話だったものが、アメリカがいいのか中国がいいのか、あるいは両方なのか、という論点にすり変わっていきます。米中貿易戦争は、米中以外の国への両国の存在を見せつけるポージングとアピールのような気もしてきますね。そうだとすれば、「冬の時代」でも何でもなく、したがって「雪解け」も来ないのかもしれません。

仮想敵国の存在は国民を「統合」させるか?

アメリカの歴史上、仮想敵国の存在はほとんどの時期で意識されています。今では日米は蜜月とまで言われていますが、1990年代、アメリカから日本が仮想敵国認定されたときのことを忘れてはいけません。日本のバブル経済は日本の経済的脅威を増大させ、そのことが「出る杭が打たれる」ことになる原因であったわけです。

仮想敵国の存在は、国内が分裂しやすい状況のときに強調される傾向があります。ちょっとズレますが、新型コロナウィルスと戦うにあたって、議会で何も決まらない状態になったら皆さんはどう思いますか?多分一致団結して早く対策を決めて欲しいというでしょう。”外からの脅威”という大義名分を振りかざしたとき、賛成も反対もなくなり、国民は同じ方向を向き始めるというのがメインシナリオです。アメリカも中国も今求めているのは国民の(現政権支持への)統合、国家統制だという点で利害が一致しているのでしょう。

2020年後半は「真実はどこにあるのか」がより判別しづらくなる

米中の駆け引きは経済的な交渉事から国民感情に訴えかけるものにシフトし始めています。11月に米大統領選を控えた探り合いがあることが間違いなく、メディアでの報道はより増えることが予想されますが、両国がメディア戦略、メディア対策を怠ることはありません。本来は選挙を通じて反映されていた国民の声が、近年はSNSなどでの拡散が国民の声のようになりつつあることも注意が必要です。日本ですらその流れは抗い難いものになりつつあるように思います。流れてくる情報の「真実はどこにあるのか」、非常に判別は難しく、情報リテラシーというだけでも足りない、ということにもなりそうな気が個人的にはしています。

投資戦略は「動かざること山のごとし」が良手か

2020年は市場の価格変動(ボラティリティ)が上昇する、という話を年初にしましたが、年後半もまたそれは変わらないだろうと思います。特に、メディアで流れてくる情報がどの程度の正確なのか判別しづらくなると、ファンダメンタルズからは乖離しやすく、その時々において市場のムードは振らされやすくなりますので、いちいち反応していてはキリがありません。

関連ブログ:2020年の金融市場を展望する

投資家にとってバーゲンと思えるものを探すのにはこういった局面はいい環境であろうとは思いますが、長期目線で資産運用を行っている方々にとっては、市場動向を追いかけることにあまり時間をかけすぎず、達観して見守るのが良いのではないかと考えます。「動かざること山のごとし」、ジタバタしない投資家が最後は勝つのかもしれません。

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