チャートを追いかけすぎる投資家に欠けている3つのこと

金融市場に慣れるとよく見るようになるチャート。チャートは情報の宝箱であると同時に、追いかけすぎると見失うものがある。そういった投資家に欠けていることを挙げてみる

金融市場には過去の価格推移を表すチャートというものがあります。例えば日経平均株価といえば以下のような感じですね。私がお話ししたいくつかのセミナーで「チャート当てゲーム」をしてみたことがありますが、やはり関心が高いのか、多くの人が素早く正解にたどり着いていました。

しかし、今回はそんなチャートを追いかけすぎる投資家の皆さんに欠けているであろう3つのことをお話ししたいと思います。

①チャートを追いかける投資家はその金融商品に対する価格の目線を持っていない

テクニカルで勝負するという考え方があることは否定はしませんし、実際多くの場面でテクニカル分析は役に立ちます。モメンタムも非常に大事です。私ももちろん大事には思っています。しかし、テクニカルにそろそろ売りだと判定されることに一体どんな意味があるか、と大真面目に聞かれても答えに窮する場面はありそうですね。「いや、買われすぎなだけです。」では実は全くロジカルではありません。投資とは本質的にはいくらだったら買うか、いくらだったら売るかを決める作業にすぎません。もちろん高く買ってしまってもさらに高く買ってくれる人が現れるのであれば何の問題もありません。ですが、その先に売れる人がいなくても、現れると思うのであれば待てばいいのです。

よくある質問としては「株価って何だか右肩上がりですよね、何でなんですか?」ですが、「いくらまで株価が上がるのが適正だと思いますか?」と聞き返しましょう。「ドル円って1ドル100円だと買いですかね?」と聞かれたら、「ドル円は1ドル何円まで上昇すると思いますか?」と聞き返しましょう。そしてもっと意地悪に「1ドル110円で買ってくれる人が世の中に現れる日がくると思いますか?それはいつぐらいだと思いますか?」と聞きましょう。

②チャートを追いかける投資家はその金融商品の保有目的が存在しない

例えば不動産を保有した人がいるとしましょう。不動産の保有目的は「家族で住む」かもしれないし「賃貸で利益を上げる」ことかもしれません。もちろん、ただ「価値が上がるのを待つ」だけかもしれません。金融商品にとってのチャートとは、同じように様々な目的の参加者が入り乱れて価格形成を行った結果にすぎません。最初は「家族で住む」「賃貸で利益を上げる」「価値が上がるのを待つ」それぞれがいたかもしれませんが、いつの間にか「価値が上がるのを待つ」人しかいなくなって、そして「価値が上がるのを待つ」人が買い続けたとしたら、そう、バブルです。本来であれば様々な市場参加者が様々な目的で価格形成に携わります、が、そのうち盲目的な投資家の集団に成り下がっていくわけです。投資とは本来、何をいくらで買い、それを何年保有すればこれだけリターンが上がる、という思考でしかありません。個別株式を買う人は、株主優待が欲しいだとか、配当がちゃんと入ってくるだとか、何がしかの目的を持っていますから、仮に持っている株式の価値がウナギのぼりになっていても気付くことすらないかもしれません。本来はどこかで目的を達成する上での採算が合わなくなってくるのです。でも、何のために、いつからいつまで保有するのかすら決めていない投資家には採算が合わなくなるという概念が存在しないのです。

③チャートを追いかける投資家はチャートが未来を示さないことを忘れがち

連続しているチャートの存在こそが勘違いの原因です。投資家は心の片隅で明日もまた今日と大きく変わらない価格で動くことを仮定しています。ときどきチャートにも「窓が開く」という現象が起こります。大きなイベントなどがあって、価格が飛ぶ現象ですね。しかし考えみてもらいたいです。日経平均株価というものをよく知らないあなたの目の前に、ある日突然、「日経平均株価を2万円で買いませんか?」いう商人が現れたとしましょう。買いますか?買いませんか?きっと大いに困るはずですが、そのときあなたは初めて、「日経平均株価とは何か」「2万円は安いのか」と本気で考えることになります。そして日経平均株価が一般的に取引されているものだということを知るに至り、徐々に値段が上がって今は2万円くらいで取引されていることを知ります。「なるほど。徐々に価値が上がっているのであれば買おう。」チャートは常に過去を表しているにすぎないので、「明日も明後日も同じくらいかあるいは少し高いくらいで取引されるんじゃないか」という無邪気な期待をしてはいけません。

でも現実問題としてチャートを見ないわけにはいかない

インデックス投資、分散投資が世の中に広まった結果、実際に投資をしている裏付資産の価格を見にいく人が少なくなったと言えるでしょう。リスクを低減することはできているかもしれませんが、インデックス投資、分散投資という名の思考停止も伴っていることを忘れてはいけません。個別の株式を買う人であってもよほどプロの投資家でなければちゃんとした分析は行いません。日経平均株価が1万9千円になりましたとニュースで流れたとして、それをどう評価していいのか分からない状態に陥っているのをよく見かけます。そしてあなたはふと思います、「数年前は1万円くらいじゃなかったっけ?あれ?9千円も値上がりしたのは何故なんだろう?まぁいっか。」と。もちろん一歩進んで、225の企業について頑張って調べるという奇特な人が世の中にはいるかもしれませんが、道半ばにして諦める人がほとんどではないでしょうか。

さて、何もチャートを見るな、と私が言いたかったわけではありません。実際、チャートは多くの投資家にとって情報の宝箱です。チャートの動きを見て過去に何が起こったのかを知るきっかけにもなります。しかし、以上のまるで禅問答のような話を経て、少しは投資家としてのあなたの目を覚ますことはできたのではないでしょうか。そして一晩寝てきっとあなたは最初の場所に戻ります。「やっぱりチャートを見よう。」と。

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