FOMO、資産運用の大敵を知る

FOMOはそこら中にある。FOMOを知って反応しそうになるFOMOをコントロールすることが資産運用成功のカギとなる

FOMO相場という言葉をここのところ見るようになった。私もFOMOという言葉を知らなかったので調べてみると、

Fear Of Missing Out

の頭文字を取ったものだそうな。このFear Of Missing Outを直訳すると「見過ごしてしまうことの恐怖」とでもなろうか。なので「FOMO相場」は、「この上げ相場を見過ごしたくない」という投資家の気持ちが相場に向かわせることを指すようだ。人間はニュースや何やらに反応してアクションを取らなきゃいけないような気になるのは、まさにFOMOだ。

「いまだけセール」とか「あと残り1つ」みたいな宣伝文句はまさにFOMOを煽ったものだ。必要でないのになんとなく買ってしまった経験のある人は多いのではなかろうか。リサーチによると、56%の人がSNS上でFOMOを感じているという。FacebookやTwitterなどSNSを1日に何度も確認してしまう人はこのFOMOを感じやすい性質だといえる。SNSは特に中毒性が高く、またFOMOを感じさせやすいとされている。

SNSやりすぎ……という時の「やりすぎ」とはどれくらい? – BBCニュース

レンタカー大手、ハーツにみるFOMO

FOMOが分かりやすく発現したのは、先日破綻したレンタカー大手のハーツ。25日にチャプター11を申請してから、株価は急激に上昇した。これから文字通り無価値になる株式が、底値から400%も上昇したのだ。ハーツは10億ドル分の新株発行を行い、それを元手に破綻処理が完了するまでの運転資金とするという。

破綻企業が新規株式を発行できることも驚きだが、その株式を引き受ける投資家がいること、またそれだけでなくその投資家たちは我先にと争って買っていることは全く不可解だ。ゴミ箱に向かって放り投げられた株式が、放物線を描く過程で値段がついたようなもの。ゴミ箱への軌道は変えられないというのに…

FOMO的な文脈でこれを解釈すると、こうなるだろう。

一番最初にFOMOを利用しようとする相場師がいて、まとまった買いオーダーを出す。その時点ではハーツ破綻がニュースになっているものの、救済企業が現れたとか政府から多額の補助金が出るとかは報道されていない。事実でないので報道されるわけもない。しかしFOMOにとりつかれた個人投資家は「何か自分の知らないことを見落としているのではないか」と考えてハーツ株を買う。それが乗数効果となってン百%の上昇となる… 結局、買うだけの材料がなかったとみんな気付くまでのババ抜きゲームである。そこに経済合理性はなく、単なるカジノだ。

Robinhoodという売買手数料ゼロのネット証券会社がある。個人投資家ばかりのこのトレーディングプラットフォームは、投資家がどの株式を保有しているかのデータがある。

Robintrack

これを見るとハーツ株を保有する投資家が急激に増えているのがわかる。ロビンフッドは数あるネット証券の一つにすぎないので全体を現しているとはいえないが、少なくとも傾向を現しているとは言えるだろう。

FOMOは資産運用においても大敵

金融市場ではFOMOは常にどこかで起きている。大きなところでいうと1980年代後半の日本のバブルやアメリカのドットコムバブルがそうだったろう。「このチャンスを逃したら、次のチャンスはやってこないかもしれない」という恐れは投資を始めたばかりの投資家あるあるだ。

しかしアドバイザーとして14年間この業界で生きてきて、FOMOに従って大儲けした話よりも大損した話のほうが圧倒的に多い。大事なチャンスはチャンスの顔ではやってこないし、逃した魚はそんなにデカくはないのだ。ハーツ株も高値からまた3分の1近く落ちた。FOMOに煽られてハーツ株に群がった投資家は今ごろ気が気でないだろう。私たち長期分散を是とする投資家はFOMOに煽られてはならない。万が一そういったボロ株をどうしても狙いにいきたいなら誰も買ってないときに買い、誰も売ってないときに売らねばならない。

FOMOを煽るような情報はこれからも無限に出てくるが、いちいち反応していては、資産運用は失敗する。

個人投資家はFOMOに煽られるせいで、インデックスの半分あるいは3分の1のリターンしか出せていないことが統計として出ている。

Why are Individual Investors so Bad at Investing?

投資家として資産運用に成功するためには、FOMOを知りFOMOを抑えこむことだ。FOMOはニュースやSNSがトリガーになっているので可能な限りそれらと距離を置くことだ。

QRコード https://amgwm.jp/3fzzqsW

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