終わりの始まり? まさか。

昨日のマーケットについて。これくらいのボラティリティは上昇基調のなかで今後も続くだろうという予想。

9月3日のアメリカ株式は全体的に軟調で、特にハイテク関連株が売られる展開となった。時価総額2兆ドルのアップルにいたっては8%も下落した(下)。

3月中旬の大きな落ち込み以降、6月に一度あってから久しく経験していない下落幅だったので「すわ終わりの始まりか」と大きな調整局面を警戒する声も聞こえてきそうだ。結論から言うと、私たちの見立てだとここから大きな下落(たとえば今年の3月中旬並の下落)がすぐに繰り返されるとは考えてはいない。

1. ハイテク関連株はもともと高かった

コロナ、リモートワークのためのハイテク関連株… というストーリーは分かりやすいものだった。そこに投資家が殺到したのが過去数ヶ月の流れだ。給付金を握りしめた個人投資家が、ラスベガスの代わりに株式市場でチップを賭けたことで大きな値動きとなった。株式市場での売買の25%が個人投資家と言われていて、これは10%前後であった昨年を大きく上回る。

Retail traders make up nearly 25% of the stock market following COVID-driven volatility, Citadel Securities says | Markets Insider

個人投資家の大量の参入がなければNASDAQもこんな上昇しなかったのではないか。

とはいえ、すべてのビジネスがネットに置き換えられる昨今ハイテク関連株が今後は伸びないとする理由はなく、むしろ巨大企業の寡占がますます強まってより高いリターンが見込めるかもしれない。昨日の下落は少しくしゃみをした程度のものだと考えるのが妥当だろう。

もしこの騰落にびっくりした個人投資家が市場からひいたとしても下げはそこまで極端なものにはならないと思う。むしろまだまだ個人投資家のユーフォリア(陶酔)は続く可能性のほうが高い。

2. 米連銀のインフレターゲット

地味なニュースではあるが、米連銀が新しい政策のなかで「ある期間でインフレ2%を達成するためにインフレ率が一時的にオーバーシュートすることを認める」という発表をした。これは僕の知る限りもっとも過激な政策だ。

すなわちインフレ率が仮に3%を越えようとも、長期的に2%を達成できるなら利上げや金融テーパリング(縮小)をせずに現在の緩和的な政策を続けるということだ。日本のデフレを見てきているので、連銀にはデフレがどれくらい国民生活に悪影響を与えるのかを良く知っているのだろう。そしてリーマン・ショック以降は2%に届いたり届かなかったりするなか、今回のコロナでデフレに陥らないようにする最大限の「意志」を示した形だ。

ゼロ金利政策でインフレになれば、現金がもっとも危険な資産クラスとなる。連銀が許容するオーバーシュートがどれくらいの水準なのか分からないが、この連銀のインフレターゲット政策がうまくいけば株式や債券などの金融資産はもちろん不動産やゴールドなどの実物資産も上昇する。連銀の方針にもとづいて投資をしていくことを「Fed Put」というが、連銀がインフレについてここまで大きな方針を示しているのでこのFed Putはまだまだ有効だろう。

一方でアメリカ人の消費マインドはコロナ以降冷え込んだままで一朝一夕に回復するとは思わない。アメリカ人の消費を支えてきたものは「今の仕事がクビになっても次があるさ」といった楽天的な思考だが今回ばかりは次がないと思っているのかもしれない。

この下落を「終わりの始まり」と言ってしまうにはまだまだ悪情報が足りない。たとえば米中貿易戦争が今異常に悪化する、コロナの第n波が今以上に大きくなる、ワクチン開発が失敗するなど劇的な事態が起こらなければ再びベアマーケットとはならないと考える。

分散こそ命

この10年、米国金融市場が一人勝ちだった。アメリカの流れについていけばそんな間違いはない、みたいな空気があったが今回の下落で投資家心理にどのような影響を及ぼすのかはまだ分からない。アメリカ株は他の市場に対してだいたいアウトパフォームしているため、もしかしたら揺り戻しがくるのかもしれない。特に新興国株はしばらく鳴りを潜めているのもあって投資家のセンチメントに変化があればまた2000年中ごろのような新興国株ブームが来るかもしれない。

しかしそれを誰にも予測することができない以上、分散とリバランスを繰り返すという愚直な資産運用しかないといういつもの結論。

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