ファンドラップを継続すべき理由、解約すべき理由

ファンドラップやラップ口座を継続すべきか、解約すべきか悩む人へ。パフォーマンス(運用成績)やサービス、あるいはご自身の環境変化を振り返るタイミング。

富裕層担当アドバイザーをしております、宮脇健です。今回はご相談も多いファンドラップについて考察してみます。

「ファンドラップ」「ラップ口座」「投資一任契約」といった言葉が日本社会に浸透しておよそ5年は経ったでしょうか。ラップ口座には最低1,000万円といった金額面のハードルが設定されていたことから、当時は新しいサービスという期待感を持って始められた方も多いでしょう。日本投資顧問業協会の公開データによれば、ラップ口座の利用金額は約1兆円(平成26年)から約8兆円(平成30年)と約8倍に拡大しました。その運用も、そろそろ結果が出てきた頃ではないでしょうか。

継続するか、解約するかを迷われている方がいらっしゃれば、この機会に様々なラップ口座を比較してみるのも一つの手かもしれません。特に海外で活躍されている方は、居住国が変わって管理が不便になったケース、あるいはそのおかげで実はアクセスできるようになったケースもあります。もちろん新たにラップ口座を検討されている方も参考になると思います。

ファンドラップの本質は投資一任です。口座管理者、たとえばアドバイザーに任せて運用します。しかしどれくらいの頻度で見直せばいいのか分からないですよね。たとえば一週間で運用結果を見直すには早すぎるし、かといって全く見直さずにほったらかしにしてもいけませんし。

1 5年というスパンは運用を見直すにはいずれにしてもいいタイミング

ウェルス・アドバイザーとしての私も運用プランを考える身として、お客様とはどんなに短くても、できれば3〜5年はお付き合いいただける前提でお話ができればと思っています。というのは資産運用は長く、そして安心してお付き合いとなることがお客様とアドバイザーにとって一番良いからです。もちろんお客様も、そしてアドバイザーも運用成績プラスという結果がすぐに出ることを目指しますが、「1年で必ず結果を出せ」とおっしゃられる場合、やはり多少無茶な取引をすることに繋がる危険性があることは否めません。どんなに頑張っても市場環境が悪ければ運用成績も伴って悪くなる可能性があるからです。「市場が荒れても慌てず、大人しくすべきときは大人しくする」というのも長期的な運用においては大事な要素です。

とはいえ、アドバイザーとしては「5年後にまたお会いしましょう」という冷たい対応をする必要もないので、やはり最低でも1年毎にはお会いして報告する、そのときにはしっかり説明をさせていただくことにはなります。弊社の場合、本業でどんなに忙しいお客様にも、年間で最低2時間はアドバイザーに時間を割いてお話したり、運用環境の理解を深めていただけるようお願いしております。

2 あなたがファンドラップの継続と解約の分かれ道に立っているとしたら

① パフォーマンス(運用成績)の良し悪しという点から判断するには

そもそもラップ口座が設定されて5年経つとすれば、運用成績的にはなんとなく区切りの良いタイミングではないかと思います。付いた担当者の対応が良かったからと契約した人も、実はやはり資金が増えていなかったとしたら運用としては上手くいっていないということです。誰がどんなタイミングでどのような判断をしたからその結果になったのかを改めて考えてみるべきです。あなたの担当者自身が投資判断をしていないのだとすれば、その先のポートフォリオマネージャーや組織体制がどのようになっているか、運用期間中に変化があったか等を聞いてみることをお勧めします。ファンド運用の場合は特に、ファンドの運営体制の変化はパフォーマンスに大きな影響を与えます。

② サービスの良し悪しという点から判断するには

サービスが登場したての頃というのは、一般には競争が少ないことが多いです。逆にキャンペーン的に良いサービスが提供されるケースもありますが、サービスが普及するにつれて、業界的にも銀行、証券、IFA、などなど色んなプレイヤーが出てきて、より競争的なサービスが出てきているはずです。既に運用の経験があるからこそ経験を活かして色々と開拓するのは良いことかと思います。一口にサービスといっても、運用そのものの成績だけでなく、購入できる商品数やウェブサービス、あるいは運用以外のところで言えば、プライベートバンクであればF1のチケット手配や限定イベントへの招待なども付加サービスと言えるかもしれません。もちろん解約するときの手数料などの確認は必要ですから、これも含めてサービスと言った方がいいでしょう。

弊社の場合、日本チームそのものがヒトケタ人数とそもそも非常に少ないので、お客様は純粋な運用ニーズでいらっしゃるケースがほとんどですし、広告や宣伝で目にして、というよりはお客様の口づて、あるいはブログ等を読んで興味を持ったお客様から問い合わせがあった、というところが出会いのメインになります。

3 ファンドラップ継続理由の例 − 運用結果が良くても悪くても、とことん話ができた

投資一任をした場合、毎日のように担当者に電話をかけたり、またそれを期待することはオススメしません。担当者はあなたのお金を増やすこと、あるいは減らさないことに時間を割くべきだからです。(担当者が運用をしておらず、ただの営業であれば許されるかもしれませんが。)ただし、例えば年一回、担当者に会うときくらいは質問攻めにしてみるのは良いかと思います。結果としての数字だけでなく、何が起こって何をしたからそういう結果になったのか、しっかり聞くことです。もしそれを嫌がるようなら投資一任費用を払うには値しません。とことん話した上で、良くても悪くてもその運用結果に納得ができたのであれば、それは継続する理由になるでしょう。

また、色んな相談に乗ってくれた担当者と仲良くなったと言うことはあるでしょう。アドバイザーとしてこれを言うことはなかなか勇気が要りますが、「感情にほだされることはオススメしません。」たとえ担当者と仲が良くても、少なくとも「プロフェッショナルとしての評価」は与えるべきだと思うからです。もしそれでも関係を続けるメリットがあるとあなたが思うならそれもいいかもしれませんが、逆にお互いにそういう関係が築けているのであれば運用を委託する以外にも関係を続ける道はあるだろうと思うからです。

4 ファンドラップ解約理由の例 − 期待していたとおりのサービスではなかった

ファンドラップにありがちなのは、例えば、選べるファンドは確かにオーダーメイドだったが、それはカタログから選んでいただけというケース。ラップ口座の成立には、銀行や証券会社がもともと自社で売っていたものをパッケージ化したという経緯があります。オーダースーツといってもフルオーダーメイドなのかセミオーダーメイトなのかの違いがあるのと同じで、金融商品の場合は、何でも買えるプラットフォームである「オープンアーキテクチャ」か、カタログに載っている商品を買える「クローズドアーキテクチャ」かという括りになります。スーツには定番の型があるので、セミオーダーメイドの発想は悪くありませんが、実は金融商品の流行り廃りは凄まじく、それは運用成績に直撃するので、自分の買いたい商品が本当にそのカタログに載っていたかを確認する必要が出てきます。

また、最近はロボアドバイザーも注目を集めています。私自身、「自分というアドバイザーのクローンができたらどうだろう」と考えることはたまにあります。自分はどちらかというとロジカルな人間だと思いますが、人間なので何度も同じことを考えることはあります。だから、これをいっそ機械化してしまえば楽になれるのにと思ってしまいます。しかし、今年は債券王のビル・グロース氏の引退があったように、どんな優秀なファンドマネージャーもその生涯を輝かしい成績だけを収めて投資の世界を去っているわけではないことを思うと、ロボ運用もまた流行り廃りが訪れるだろうと推測できます。

また、お客様の立場からみて、ロボアドバイザーに頼むという行為はどうだろう、とも考えます。個人的には投資もまた語学と似たようなものだと思っています。通訳をお願いしたがために、英語がしゃべれなくなってしまっては意味がありません。最初は誰かにお願いしていたにせよ、時間を見つけて挨拶くらいはできるようになった方がいいのではないでしょうか。その先で、いい通訳なのかどうかを見分ける眼を持つことができるのではないでしょうか。投資の世界も同じで、時間を作ってでもある一定レベルの知識は必要だと思います。資産規模とともに、お客様の金融知識が追いついてくれば、プロ投資家向けの商品なども案内しやすくなります。ロボに預けてしまえば、残念ながら一生初心者止まりな気がします。資産規模がそれなりにあれば運用委託手数料(アドバイザリーフィー)もバカにはならないので、何がしかサービスを受けたいところです。ただ、それが運用と直接関係ないサービスであれば、切り離して考えなければなりません。

5 海外のファンドラップは日本と違うのか

日本で登場した”ラップ口座”という言葉は、紛れもなく海外からの輸入品であって、実際香港に来てみると、至極ありふれたものだと感じます。先日、香港で開かれたファンド関係者のネットワーキングイベントに行ってきましたが、ケイマン諸島法やモーリシャス法に詳しい法律家、海外信託(トラスト)の運営者、ヘッジファンド向けにアドミニストレーションサービスを提供する業者などなど、オフショアの申し子とでもいう専門家がひしめき合っていました。それだけオフショア商品には歴史の長さがあり、オフショアという国家の仕組みそのものとの相性がいいものです。日本でラップ口座を扱うにあたっては、やはりもともとあった金融制度や金融機関の組織制度に適合する必要があったので、そのままというわけにはいかなかった部分もあるでしょう。「オフショア債」「保険ラップ」等で呼ばれるラップ口座は、これまで日本の金融商品を見て来た人にとっては場合によってはカルチャーショック級のものかもしれません。「弊社では何でも買えるオープンアーキテクチャでやっております。」と言っても、お客様は「そんなわけない。」と最初は思ってらっしゃったりします。それに、香港は金融”ハブ”であって、しばしば実際にお金を預ける場所ではなかったりしますが、それを聞くと「え?」と思われる方もいるかもしれません。この辺りはより丁寧に説明をさせていただこうと思います。海外諸国で事業利益等をお持ちの方などは、おまとめになるとメリットが出てくる場合もあるので、そういったニーズもあれば是非アドバイザーに聞いてみてくださいね。

☆ファンドラップに関するお悩みがある方 → とりあえず相談

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