債券市場概観 – 2018年9月

先月の債券市場をざっくり概観

香港に甚大な被害をもたらした台風”Mangkhut”。「マンクー」と呼びます。日本でも香港の被害のようすは話題になりました。ビルから鉄塔が落ちたり、オフィスの窓ガラスが割れておびただしい量の書類が割れた窓ガラスから外に飛んでいくようすが放送されました。被害総額は日本円で1,000億円程度ということですので、先日の西日本豪雨で日本が被った1兆円以上の被害額からするとそこまでたいしたことではないのかもしれません。報道は一部のショッキングな映像だけ流しますが仕事も学校もお休みで大人はマージャンにテレビゲーム、子供たちは同じマンションの敷地内に住む友達の家に(暴風雨の中ずぶぬれになって)遊びに行き来してちょっとしたお祭り気分でした。

クローズド・アカウント内限定の債券に特化

初めての方へ。 弊社には有価証券、ファンドは事実上なんでも買える”オープンアカウント”と買えるものがある程度限定されている”クローズドアカウント”の2種類をご用意してございます。このシリーズではクローズド・アカウント内で購入可能な債券を対象としており、債券市場全体を対象としているわけではありません。もしお探しの現物債券がリストになくともオープンアカウント内で購入できる可能性がありますので、お問い合わせ頂ければと思います。

債券市場一言コメント

さて。

先月の大きな話題といえば、パウエル連銀議長がトランプの口先介入「利上げは歓迎しない」にどう対処するのかが注目されていました。中立的な立場を守っているはずの連銀がトランプ大統領の意向に従って利上げペースを落とすのか、それとも政治からの中立性を守って利上げを継続するのか。結果、パウエル議長は利上げを決定し、政治的な中立性を保つというメッセージを放ちました。

とはいえ、もしパウエル議長が利上げを行わなければマーケットに「米経済は利上げを継続して行えるほど力強くない」という印象を与えちゃいます。逆に利上げを行ったことで中間選挙への追い風になるかもしれません。失業率も過去最低水準となり、中国に失速感があるにもかかわらずアメリカ経済は好調。強気の米中貿易戦争で双方一歩も引かなくてもトランプ減税で相殺されて実際に負の効果が出てくるのは来月の中間選挙の後でしょうね。ちなみにトランプと習近平の直接会談の可能性は12月上旬のアルゼンチンG20… 中間選挙でトランプが再選するとしたら、このG20も強気で臨むでしょうからいよいよ貿易戦争解決の糸口は遠のきますね…

TESLA債

テスラ・モーターズが発行した債券。イーロン・マスクが「会社を非上場にするつもりだぜ。資金も準備してある」とツイートしたことがアメリカ証券委員会(SEC)の調査対象となり結局は個人とTESLA法人双方から2千万米ドルずつを罰金として支払うことで解決しました。解決後もSECのことを”Shortseller Enrichment Commission”、=「(テスラ株を)空売りする連中を肥え太らせる会」と揶揄するなどまさにやりたい放題ですが非上場化も断念、罰金も払ったのでイーロン・マスクが牢屋に入ることはなくなりました。会社のキャッシュが燃え尽きるのも時間の問題とまで言われておりましたが、TESLA債券は現在、額面100に対し84-87で取引されております。ちなみに「会社を非上場に…」というツイートはイーロン・マスクの彼女に自慢したかったがためだそう。なんじゃそりゃ。

クローズド・アカウントで購入可能な債券本数

先月から3本増えて現在

576

本がクローズド・アカウントにて購入可能です。購入可能な債券リストはこちら(Google Spredsheetに飛びます)。

ランキング

1. 値動きトップ 2. 値動きワースト 3. ハイイールド の3つのカテゴリーでのランキングです。ランキングの母体は上述のリストからです。同じ会社で複数債券を発行している場合は、その中でもっとも良い(悪い)ものを1つだけ選んでいます(数字は9月30日時点のものです)。値動きの計測期間は過去1ヶ月。オファープライスはお取引価格(債券価格と未確定クーポンを足したもの)、格付けは特に断りがない限り発行体に付与されたものではなく債券に付与された、S&Pのものを使います。 以下出てくるような値動きが激しいものは、売買が成立しづらい(流動性がない)ものですから投資するには担当アドバイザーとよく相談してください。

値動きトップ3本

この1ヶ月で債券価格が上昇したもの上位3本です。

上昇幅+33%, HSINCG 8.500% 22Jan2019 Corp (USD)

香港の不動産会社、Hsin Chong Group。香港の地下鉄事業でトラブっておりましたが、中国の不動産会社、Greenland Chinaが出資するかもしれないというニュースが流れて爆騰です。

オファープライス USD91,106.60
格付け N.R
満期までのイールド(実質利回り) 128.85 %
表面利回り 8.500%
償還期限 2019年1月22日

上昇幅 +11.0%, GUANGH 7.875% 30Mar2020 Corp (USD)

新疆广汇实业投资、新疆ウイグル自治区の不動産やエネルギーを扱い会社です。彼の地はテレビでゴーストタウンと化しているとよく紹介されておりますね。ゴーストタウン化は相変わらずですが、

オファープライス USD190,724
格付け B-
満期までのイールド(実質利回り) 11.919%
表面利回り 7.875%
償還期限 2020年3月30日

上昇幅+5.23%, CSSXF 7.950% 15Feb2019 Corp (USD)

中国のソーラー会社。ソーラー事業は中国のクリーンエネルギー政策に助けられ急上昇していますが、この中国兴业太阳能技术控股(China Singyes Solar Technologies Holdings)のように資金繰りがうまくいっていないところもあります。現在額面100に対して85-87で取引されている様子。

オファープライス USD174,483
格付け N.R
満期までのイールド(実質利回り) 65.58%
表面利回り 7.950%
償還期限 2019年2月15日

値動きワースト3本

この1ヶ月で債券価格が下落したもの上位3本です。

下落幅-3.322%, MOLAND 7.950% 05Mar2021 Corp (USD)

中国の不動産会社、Modern Land China。香港株式市場にも上場しております(1107.HK)。

オファープライス USD172,501.33
格付け B+
満期までのイールド(実質利回り) 15.679%
表面利回り 7.950%
償還期限 2021年3月5日

下落幅-3.277%, LIFUNG 5.250% Perpetual Corp (USD)

こちらも先月と同じランク、香港ベースのグローバルサプライチェーンのLi & Fung。あと1ノッチでジャンク入り。まさに正念場。ここの財務担当者のデスクにはユンケルの空き瓶が並んでいることでしょう。

オファープライス USD148,579
格付け BBB-
満期までのイールド(実質利回り) 7.308%
表面利回り 5.250%
償還期限 永久債

下落幅-3.215%, QHINVG 6.400% 10Jul2021 Corp (USD)

Qinghai Provincial Investment Group Co., Ltd、青海省投資集團有限公司の債券。青海は「せいかい」と読みます。内陸部ですね。アルミなどの軽金属の加工を行っています。こんな内陸の会社が債券を集めるなんて。

オファープライス USD150,414
格付け B
満期までのイールド(実質利回り) 19.70%
表面利回り 6.400%
償還期限 2021年7月10日

ハイイールド上位3本

ハイイールド(High Yield)とは、もともとクーポンが高かったり債券価格が大きく下がって満期を迎えたときにより大きなリターンを手にすることができる債券のことです。

128.85%, HSINCG 8.500% 22Jan2019 Corp (USD)

資金の大部分を安定したものに投資をし、残りのごくわずかを市場アノマリーの大きな変化にかけるというのがブラック・スワン戦略とすれば、デフォルトすれすれの安い債券を買いたたき、一部が確実にデフォルトになるがデフォルトにならない債券で損失をカバーするような戦略があってもいい気がします。

オファープライス USD 91,106.60
格付け なし
満期までのイールド(実質利回り) 128.85%
表面利回り 8.500%
償還期限 2019年1月22日

116.53%, NOBLSP 6.750% 29Jan2020 Corp (USD)

香港のコモディティ商社。まだまだ常連を保ち続けております。

オファープライス USD 50,859.49
格付け D
満期までのイールド(実質利回り) 78.4%
表面利回り 6.75%
償還期限 2020年1月29日

79.68%, AUSGSP 7.450% 20Oct2018 Corp (SGD)

常連のAusGroup Limitedです。あと2週間で償還! デフォルト回避でがんばれ!

オファープライス SGD 140,115.41
格付け なし
満期までのイールド(実質利回り) 79.68%
表面利回り 7.450%
償還期限 2018年10月20日

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