運用ケーススタディ – お子さんの教育資金を用意

お子さんの教育資金の準備は親の務め。しかし教育に関しては夫婦で意見が異なることも多いのが実情。具体例を通じて学資準備について考えてみます

アドバイザーの宮脇健です。本稿では、資産運用におけるケーススタディ(具体例)をお話していきたいと思います。今回のお題は「お子さんの教育資金を用意」です。

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現在5歳の娘さんがいる48歳、飲食店グループ経営者のKさん。35歳の妻Cさんから、娘さんの教育費をどのように貯めていくか真剣に話し合おうとももちかけられています。

妻Cさんが懸念していること

飲食店グループ経営は順調で利益が出るようになってきており、Kさん自身は教育資金をあまり心配していません。一方で、妻の思うところは、Kさんが48歳であるため、娘さんが大学から大学院にいく頃には60〜65歳になるということです。Kさんが働けなくなることまでは想定していませんが、その頃には自分たちの老後のことも大事になってくるはずだから、今のうちに娘さんのために教育資金を用意しておかないと、と思っているようです。

妻Cさんの相談に対して夫Kさんの取ったアクション

夫Kさんは、妻から「考えといて!」と言われたものの、経営のことで頭がいっぱいです。「妻の心配も今だけだろう」と思ってしばらく放置する作戦に出ましたが、夕食の度に聞かれるので少し真面目に考えてやらないとな、と思い始めました。ただ単に貯金するよりは、折角なら資産運用の話でも考えてみるか、ということで早速ネットで検索し、どうやら最近は独立系フィナンシャルアドバイザー(IFA)という人たちが運用プランを代わりに考えてくれるらしい、ということをお調べになったようです。弊社AMGのホームページにある相談フォームから問い合わせをいただきました。

運用の目的、期間、金額を決めていく

何度かメールでやりとりをした後、Kさんには忙しい合間を縫っていただき、Web会議を設定することになりました。面談では資産運用の目的設定と運用期間、そして目標金額を伺いました。簡単にまとめると以下のようになります。

【目的】教育資金(娘さんのため)

【期間】15〜20年間(娘さんの大学や大学院への進学を目安)

【金額】目標1000万円(学費だけでなく諸々)をできれば月々で払いたい

ちなみに、その他にKさんが呟いていたことは

①教育資金は準備してやったらいいけど、どこの大学や大学院出るとかは子どもの意思だし、全部親が何とかしてやる必要はないかなぁ

②娘のことも大事だけど、よくしてくれる妻にも何か考えてやりたいよなぁ

③そもそも自分の退職って退職金出るんだっけなぁ

でした。メモメモ。

ご案内した運用プランの例

今回の依頼はお子さんの教育資金ではありましたが、教育資金の場合、実際どのくらい必要なのか、あるいはそもそも親がどれくらい払うのか、は不確実な面がありますので、その点を考慮に入れられるといいかと思います。また、月々支払っていく積立を希望されているので、比較的保守的な運用が好まれます。大学入学の年齢である18歳、大学院進学の年齢である22歳を仮に一つの目安としてみましょう。

円建てで積立預金をしたケース(預金金利が0.1%の場合)

月6万円×12ヶ月×13年=936万円

18歳で解約 942万円 (936万円 + 利息6万円)

22歳で解約 946万円 (936万円 + 利息10万円)

米ドル建てで積立運用をしたケース (1ドル=108円を想定、運用利回りは1%台後半)

月554ドル×12ヶ月×13年=86,424ドル(936万円)

18歳で解約 94,844ドル(1,026万円 = 936万円 + 運用益90万円)

22歳で解約 102,290ドル(1,106万円 = 936万円 + 運用益170万円)

娘さんが18歳になったときの解約金の差はおよそ【84万円】です。ざっくりした計算ですが、仮にタイミング悪くドル安円高になっていた場合、およそ1ドル=100円以下であれば円建ての預金に比べ、損が出る可能性があります。

また、通われる大学にもよりますが、入学時点で全額を解約しなければならないほど出費があるケースは多くありません。もしそこでの出費が少なく済めば、22歳で大学院にも通う決断をしたときまでそのまま置いておけば良いのです。22歳まで全く引き出さなかった場合、そのときには解約金の差はおよそ【160万円】に広がります。

最近は交換留学に行ったり、あるいは休学や留年を積極的に選んで色々な活動に取り組む学生もいますから、運用を継続しつつ、徐々に引き出していくこともできるプランが望ましくなっています。

まとめると、外貨建て積立運用では以下のような特徴に着目するので上記の差が生まれます。

◇ 日米金利の違いによる複利効果の差 − 同じ複利でも金利が高い方が有利

◇ 保守的な投資 − 債券を中心にした安定運用により最低限の利回りを確保

◇ 長期継続運用 − 必要な分だけ引き出し、残った資金は置いておく

最後にKさんの呟きのフォローを

①進学に関するお子さん自身の意志に関しては、このプランで十分に考慮できているのではないかと考えます。教育資金目的とはいえ、学資として使わなければならないわけではないですから。お子さんが金銭面で親の力を借りないようであればそのままお二人の老後の資金に回せばいいです。

②まずはお子さんのことを、という妻の意志も尊重しましょう。備えは早い方がいいですから、柔軟に切り替えができるプランを用意しておくことが大事です。ついでに還暦に向けてへそくりを運用して妻へのプレゼントを買うための資金にしたいとのことでしたので、これもプランを案内いたしました。

③役員の方の退職プランについては、法人での税金の観点も大いに関わってきますので、別途プランを案内をさせていただきました。

私どもへのご相談のきっかけは何でも構いませんが、一番大事なのはこの手の話をご自身の頭の中でぐるぐるしすぎないことです。人間なのでKさんのように色んなことを同時に考えるのが普通です。そしてどこから手をつけたらいいのか分からなくなります。課題を切り分けた方が良いときもあれば、将来の不確実性を踏まえながら複数の課題を同時に解決することを考えることもできるので、遠慮なくアドバイザーに話してみてください。お客様のサポートをすることがアドバイザーの仕事です。ただし、どのような場合でも、お客様自身で最終意思決定をしていただくことは大事ですけどね!

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