今話題の「老後2000万円」問題について思うこと

金融庁が提起した老後2,000万円問題について個人的に思うこと、香港人の反応、そして実際に2,000万円の貯金を作るために香港の外貨建て保険商品を利用するなら半分の1,000万円で十分。

最初に話題の背景の振り返り、ついでに香港の年金制度の紹介、そして最後にどうすれば2000万円を貯められるのか、ちょっとしたシミュレーションをしたいと思います。外貨建て保険を使えば、なんと半分の1,000万円を貯めればいいだけ。

「老後2000万円」問題が話題になった背景

若干関心のピークを過ぎたような気もしますが、このニュースで刺激を受け、「資産運用セミナーに足を運んでみよう」、「年金が一体いくらもらえるのか調べてみよう」と思った人は多いのではないでしょうか。

年金といえば2007年に「消えた年金」問題が取り沙汰された時期がありましたが、今回はそもそも何がきっかけで話題になったのか少しだけ振り返ってみたいと思います。

コトの発端は・・・

2019年6月3日に金融庁金融審議会が取りまとめた報告書『高齢社会における資産形成・管理』において、

夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職夫婦のケースを総務省の家計調査に基づいて計算した結果、月々の年金などの収入から生活費を差し引くと毎月5万円の不足(赤字)が生じる。したがって、95歳まで生きたとして、30年で2000万円の資金が必要になる

との試算が発表されたことでした。

なお、実際の資料(抜粋)とそのリンクはこちらです。

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/02.pdf

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/03.pdf

これにより、人生100年時代において、100年安心の年金制度をうたってきた与党は、「一体どういうことなんだ」と野党から攻撃を受けることになったわけです。報告書は審議会によるものであったものの、金融庁からということで、麻生太郎金融担当相にも矛先が向きました。

*8月27日、厚生労働省より2019(令和元年)年の公的年金財政検証が発表されています。5年に一度の検証ですので、現役世代は特に見ておきたい内容です。仮定も多く読み解くのは容易ではないと思いますが、2,000万円云々以前に年金制度そのものが今後の日本の経済成長頼みとなっていって、親世代を見ていても今の世代の老後の話はできないということがポイントです。

香港の年金制度

「老後2000万円」問題の話を香港人に話したら…

弊社アドバイザー「なんか日本で公的年金だけじゃ老後の資金が2,000万円くらい足りないっていう試算が出て、ざわざわしているんだよね。」

香港人の友人「へぇ。2,000万円くらいだったら貯めれば良いんじゃないの?」

…つまるところ、一蹴されました。

でも本質的にはそうだと思います。

メディアでは様々取り上げられていますが、実際そう思っている日本人もきっと少なくないですよね。ただ、香港人は合理的で実利主義だと言われるように、「自分の力で生きていく」という気質も強いのかもしれません。

少し脇道にそれて、香港の年金制度を紹介します。

香港は2000年にMandatory Provident Fund(MPF)と呼ばれる強制積立制度を導入しました。ざっくり言うと、毎月の給与額に対し、雇用者側と従業員で5%ずつを積み立てていくというものです。MPF導入前はちなみに任意加入のOccupational Retirement Scheme Ordinance (ORSO)という制度がありましたが、MPFは65歳から給付を受けられる、いわゆる確定拠出年金です。強制積立分以上に、任意に積み立てられるので、日本でのiDeCoが合わさったような制度になっています。

「2000万円」を貯金するには

年金制度が上手くいっているとかいないとか、選挙戦略に利用されているとかいないとかややこしい話はさておき、そもそも2000万円というお金はどう作るのが良いのかというのは知っておいて良いかと思います。

ポイント1 いずれにせよ、年金でも運用されている。

日本人はせっせと預貯金をすることで有名ですが、一方で老後を支える公的年金は「運用」することによって成り立っています。月々の年金を支払っているのは国民ですから、国民はすべからく「資産運用をすることによって年金を得ている」ことになっているわけです。「運用なんていう難しい話は勘弁して欲しい・・・」というのも変な話なのです。あとは公的年金という運用機関だけで満足なのかということです。iDeCoやNISAを調べて自分でやってみるもよし、運用を委託する方法を調べるもよしです。

ポイント2 結局のところ、生涯支出は本人のライフプラン次第。

そもそも日本の公的年金には掛金を自主的に決める機能はないので、多様化したライフプランに合わせるのには限界があり、本人がマネージしないといけない部分があります。年金の支給額がわからないのはもどかしいところがあると思いますが、そもそも運用しているのですから、そういうものだと思って、将来に備えていく必要があります。生涯支出を知って、働いて賄えない部分は「運用」に頼るといった発想の転換が必要です。

シンプルな例として、香港で扱っている外貨建ての保険商品での2つのシミュレーションから抜粋したものを紹介します。現在利回りは3.7%。これは四半期に一度変動しますが2.8%が保障され2.8%を下回ることはありません。また計算を簡易にするために、USD1=JPY100としています。

事例は、65才で定年すると仮定しそれまでに2,000万円(USD200,000)を貯めなければいけないことを想定しています。

ケース1 45歳から20年運用するケース

ケース2 55歳から10年運用するケース

少し見づらいと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、まとめると

USD200,000 (= 2,000万円)を解約時価値(Surrender Value)ないし死亡時保険金(Death Benefit)として受け取るには、支払金額(Total Premiums Paid)が

  •  USD150,000 (= 1,500万円)ならば10年
  •  USD100,000 (= 1,000万円)ならば20年

で良いということです。もちろんドル円為替がございますが、為替リスクはここでは勘案していません。

ポイント3 資産運用は早く始めるほど目標に到達するための投資額が少なくて済む。

2,000万円と言われると「大変だ」と感じた人もその半分の1,000万円でいいとなれば少し楽に感じる部分があるのではないでしょうか。資産運用は常に時間をかけて行うもの、つまり時間を価値に変えていく作業になりますから、その作業を怠ると、逆に言えば1,000万円を20年間で失ってしまったという見方もできます。

今回は2000万円問題に合わせた金額でシミュレーションをしましたが、実際はお客様との面談のなかで、どのような運用方針で、つまり、どのようなリスクを取りながら、またどのようなリターンないし金額目標を持って運用していくかを一緒に決めていければと思います。もし自分にあったポートフォリオについて聞いてみたいという方がいらっしゃいましたらご相談ください。

何かいい方法はないか悩んでいる方 → まずはご相談

関連ブログ:香港の保険と日本の保険の違い

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