子どもへのおカネの教育
ファイナンシャルアドバイザーが子どもに教えたいおカネの基礎知識。日本ではお金の話はタブーという意識があるが、若いうちに学ぶべきことも多い。高校生くらいまでに理解しておいた方がいいおカネにまつわる法則をご紹介。
最近では日本でもおカネに関する話題が多くなってきています。私が学生の頃は“おカネ”の話題はあまり触れてはいけない事、って言われてきた記憶があります。
おカネの話はタブーである
私の記憶では子供の頃から「おカネの話は人前ではするな」「おカネの話は卑しい事」と言われてきたような気がします。それを象徴するかのように小学校~高校までこの「おカネの勉強」や「おカネの教育」を受けた記憶がありません。せいぜいおカネの種類や数え方ぐらい。もちろん、銀行券の役割や複利の計算、株式市場などについては大学に入るまで、いや大学を卒業してからもこのお仕事に就くまでは正確な知識は皆無でした。もっとも今ではどのような教育を現場で行っているのかは分かりませんが、日本ファイナンシャルプランナー協会の雑誌などを読んでいると私の子供の頃とそれほど変わっていない感じがしました。(FPの方がその役割を担っていかないといけないという論調がされている、という事はまだまだ浸透していないかなぁという)
そんなに高度な金融教育が必要か
専門的な金融教育が必要とは全く思いません。「金融教育」や「金融知識」と漢字で書くと非常に難しく感じます。どうしても偉い人などが文章で書くと難しく感じて自然と気持ちが離れていってしまうのは私だけではないはずです。
香港の金融アドバイザーとして個人的な意見を述べさせていただきますと私たちプロが取得するような知識はもちろん、書店で並んでいるような分厚く難しい、そして高い書籍は必要ないと思います。
私たちアドバイザーは金融に関する書籍をおそらく普通の人よりも少し多く読んでいるかと思いますが、おカネに関する基本的な知識や要点はほぼほぼいつも一緒のような気がします。
高校生までの子どもにはどんな知識が必要か
私は教育者ではないので教育の知識は皆無です。しかし金融のプロとして高校生ぐらいまでには知っておいた方が良いと思うのは以下の通りです。
「おカネの価値は変わる(インフレ)」「モノの値段(原価と利益)」「米国ドル(為替)」「会社の仕組み(株式・債券)」「利息の計算(複利)」「今までの歴史(景気)」の6つ
以上が社会に出る前に最低でも知っておくと大学の学部決定、将来の就職や人生設計には少しは有効ではないかと思います。次にそれぞれを見ていきましょう。
1.おカネの価値は変わる
これはインフレを指します。今の1万円と20年後の1万円の価値は確実に変わります。これを知らないと長期にわたり続くインフレ時にでさえもタンス預金や長期間低金利固定で保険などの契約をしまうなどを防ぐことができます。
2.モノの値段
モノの値段の仕組みを知ります。例えば石鹸。これには原料費、加工費、人件費、広告宣伝費、販売管理費…が積み重なって値段が決まります。これを知ることにより将来のマーケットの見通しなどを養ってくれるでしょう。
3.為替
日本で住んでいる場合にはまずは米国ドルとの為替レートと仕組みや関係、歴史を知っておけば十分でしょう。
また子供が「国によって使うおカネ、価値、物価」が違うという事にも気付くはずですので海外旅行は非常に有効なおカネの教育ともなります。
4.会社の仕組み
会社というのは誰のものか?株価が社会や会社に与える影響など。会社がおカネを必要とする時はどうするのか?を知ることにより将来の起業や就職先の選定に役立つと思います。
5.利息の計算
これは生活していく中で一番重要だと思います。特に複利計算は必須事項ですね。この複利を知っているのと知らないのでは将来の貯蓄計画や住宅ローンの返済計画などで差が付いてきます。私もこの複利の効果には今でもびっくりする事がよくあります。
6.景気の歴史
ずっと続く底なしの不景気は無い、逆に永遠に光り輝く好景気(バブル)も決して無いという過去の歴史を知ることはとっても大切です。最近ではリーマンショックが記憶に新しいですが、それでも最近の好景気でその傷や痛みを忘れてしまっている傾向もあります。過去の景気の循環や流れを知る事で完全にではないにせよ、ある程度身構えることは可能です。
本当に使える金融知識は別に堅苦しくない
以上に羅列した私たちが必要と考えるおカネの知識は決して「金融知識」といった堅苦しいものではなく、実際の生活に直結したものと思います。「理論」よりも「実践」が必要です。本当は高校生ぐらいまでにこの知識を身に付けていただくのが今になってベストだと感じますが(私は知識の取得が遅すぎて後悔しています…)、何歳になっても生活には必須の知識だと思いますので是非とも関連する書籍やウェブなどで見直してみてください。もちろん私たちAMGのアドバイザーもいつでも相談を受け付けています。