債券市場概観 – 2020年2月

先月の債券市場をざっくり振り返り。旧正月後の新型コロナウィルス流行から少しラグを伴って世界同時株安へ。株安債券高ボラティリティ上昇のまま月末を迎えたマーケットをまとめてみる

今回はいつも翌月第1週くらいにお届けしている債券市場概観を、少し早めにお届けしたいと思います。

米10年国債利回りは過去最低を記録

2020年1月も低下基調であった米10年国債利回りですが、2月上旬は1.5%近辺で推移した後、2月24日週に入って大幅に低下しました。水準感としても1.2%台と歴史的な最低水準になっています。長短金利の逆イールド状態であるにはありますが、どちらかと言えばリスクオフからの債券買いの様相の方が強いので、いかにして戻っていくか、というのが次の焦点になるでしょうか。

在任期間中の株高を演出してきたトランプ大統領ですが、株価の下落を見つつ「コロナウィルス対策は奏功中。」と火消しムードが若干漂います。もちろん、アメリカのとった感染症対策は非常に迅速ではありましたが、これをもって感染者数を抑えられたかどうか、答えは3月に持ち越しということにはなりそうです。

市場は年4回の利下げを織り込み済

債券市場が類を見ない上昇をしているのにはシンプルには米連邦準備銀行(FRB)による利下げへの期待感があります。2020年末までにはFRBの短期金利誘導目標が現状からは25bp×4下がることが既に市場織り込みとなっています。もちろん、段階的に利下げをすることが決まっているわけではないので、FRBの今後のアクション次第ではこれもまた市場のボラティリティを高める一つの要因になると言えるでしょう。

これまでの金融当局の反応は

もちろん相場が動いたのはまさに1週間ですからこの間に正確なデータでもってコメントを出すことは金融当局としては難しいです。実際「時期尚早」との発言がちらほらと聞かれている一方、週末にかけては利下げを示唆するような発言も出ています。ただ、3月18日にはFOMCがありますから、これまでには当局はある程度の情報を揃えてくると考えられます。

クラリダFRB副議長、新型ウィルスの影響推計は時期尚早 – Bloomberg

米FRB議長「あらゆる手段で適切に対応」、新型肺炎リスクで – ロイター通信

かたや、少し忘れがちですが、米大統領選候補レースにおいて、大票田のカリフォルニア州やテキサス州を含む14州などで予備選と党員集会が一斉に行われる3月3日のスーパーチューズデーにて指名争いの行方が決まる公算が大きく、その日が間近であることを忘れてはいけません。再選を狙う共和党トランプ大統領と戦う人物が決まることになるのです。

恐怖指数(VIX)は急上昇

金融市場の大きな動きは、ボラティリティ(変動率)を表す恐怖指数にも現れました。VIXが40近くまで上昇することは1年に1度もないくらいですから、インパクトが非常に大きかったことを如実に表しています。

ドルインデックスの上昇停止

ドル高ですという話をずっとしてきて、2月はドルインデックスが100を超える手前まで来ましたが、金利低下もあり、一旦ドル高のトレンドが絶たれました。もちろん、依然として高い水準であることは言うまでもありませんが、諸外国の状況を考えると、どちらかと言えばドルが高い状況が続きやすい状況ではあり、金利が低いのに通貨が高いという状態になることが想定できます。これがドル安に過度に逆流し始めないかどうかはある意味で一つの注目点です。

日10年国債利回りもわずかに低下

ここ最近はやや注目が薄れていたように思いますが、世界同時株安の中で日本国債利回りも低下しています。ただし、米金利に比べると低下余地がそもそも少ないこともあってか、小幅な低下に止まっています。

一時円安からの一転円高の様相

19日、20日の円安は極めて印象的であり、市場では「日本売り」ではないかとの声も囁かれたところでしたが、結果的には先ほど述べたドル安にも後押しされ、円高が再度進むこととなりました。株や債券の動きがなかったので「日本売り」は煽りが過ぎるとの声もありましたが、株にしても債券にしても影で支える大きな存在がいるので・・その後の津波でかき消された今、真偽のほどは分かりません。日米の金利差縮小のため自然な動きではありますが、年初来で見てみると、数日の大きな動きを除いてはやはり水準感はあまり変わっていません。

独10年国債利回りはマイナス金利の谷底へ

マイナス金利が長らく定着化しているなか、格付けが高いゆえにマイナス利回りの債券が非常に多いドイツ市場は水面への浮上を目前に、再び深いマイナス金利の谷に落ちつつあります。

3月は波乱が続くか、凪が訪れるか

個人的には久々に「金融市場が動いた」と実感できたのは、職業上も非常に刺激になりました。もちろん金融市場の乱高下に一喜一憂することは私たちアドバイザーとしてお客様には是非とも避けていただきたいことであり、そのために私たちがいるわけです。しかしながら、金融市場という話題を共有できることもまた、仕事の醍醐味でもありますね。

2月の最終週、ここまでは一般的な株安債券高の展開が続きましたが、非常に難しい袋小路に飛び込みつつあると思います。というのも週間の相場にも現れたとおり、何より市場のムードが良くなく、そして先行きの不透明感が燻っています。激しい値動きの週を終え、3月はどのようになるか、注目です。

ただ、一つだけ楽観的なことを言うとしたら、今回のトリガーになった新型コロナウィルスは遅かれ早かれ収束する、ということは言えます。もちろんどのくらい続くかは分からないところがありますが。

香港はいち早く対策を取りましたから、体感としては日本の対応はちょうど1ヶ月くらい遅れています。対応が遅かったと批判したいわけではなくて、単に武漢からの余波が伝達するのにそれくらいかかったという意味です。これから中国の人の動きも徐々に戻ってくるでしょうから、香港も気が抜けない状態が続きます。日本在住の方はマスク不足、トイレットペーパー不足、学校の休校、在宅ワーク、と生活への影響は大きいかもしれませんが、是非ご家族で知恵を絞って乗り越えていただけたらと思います。

関連ブログ:新型コロナウィルスによる世界同時株安から学ぶべきこと

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