コロナショックがもたらす債券下落、安全資産は必ずしも安全でない

コロナショックを通じて買い場を探るべきは株式だけではない。債券や金などのいわゆる安全資産もまた適切なリスクテイクとなり得る可能性がある

新型コロナウィルスを一因とする経済ショックとして、今年に入って株価の急落や、急激な円高からの急激な円安が印象に残った人は多いかもしれませんし、実際、株価がV字回復をするための”底”は一体いつだと思うかという質問は数多くいただきましたが、こういった大きな市場の変化は様々な金融市場に波及効果がありますので、改めてご自身にとってベストな投資エリアについて再考することは大事だと思います。今回は、株価下落の裏側で起きた、一般には安全資産と言われる資産の動きについてまとめてみたいと思います。

投資適格債の動揺は収まる

一般に、発行体のデフォルトリスクが低く、信用力が高い債券のことを「投資適格債」と呼びます。具体的には外部格付け機関が行う格付けにおいてトリプルB以上を取得しているものです。投資家の多くは、その名の通り投資適格かどうかを意識して投資をしていますので、デフォルトが少ない「安全圏」の中であれば動揺は少ないのが平時です。ただし、今回のコロナショックでは、その「安全圏」にも一抹の不安がよぎりました。その後は欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備銀行(FRB)が社債の購入を積極的に行うことを発表したことにより、全般的には落ち着きが見られています。

個別の債券例を挙げると例えば以下ですね。

ハイイールド債の瓦解シグナルはあるか

金利が低くなっていく中で、どうしても利回りが欲しい投資家は信用リスクをとって、いわゆる「ハイイールド債」に投資をすることが増えたように思います。ハイイールド(高利回り)というと聞こえはいいですが、要は非投資適格な、あるいは投機的な債券です。そうは言っても債券だから安全資産だよね、という声をときどき聞きますが、そんなことはありません。平時は安定しているように見えても、経済ショックがくると一気に資金が流出し、場合によっては企業のデフォルトが待っています。もともとハイイールド債の場合、一定確率でデフォルトが起こるというものなので、ご自身の投資する企業の業績動向を注視する必要があります。そのため、一旦は落ち着いたと思っていても、しばらくは緊張感を持っておいた方が良いでしょう。

金価格はピークアウトしたか

コロナショック以前は、米中貿易摩擦などの不確実性や、金利低下などを背景に金価格が上昇を継続していました。しかし、コロナショックにおける動きとしては金価格の下落でした。もちろん、よりリスクのある資産が選好されるようになったわけではなく、リスク資産での損失を補填するため、手元流動性の確保のために、換金する必要が出てきてしまったためです。金融市場が落ち着くにつれ再び安全資産として機能し始めたようには見えますが、経済ショック時に金価格が上昇し続けるわけではない、というのは印象に残ったのではないでしょうか。金価格が本格的に下落を開始すれば、景気の底を抜ける便りになるかもしれませんね。

安全資産は必ずしも安全でないという認識も大事

最近は「Cash is King(現金は王様)」という言葉を多数聞くようになりました。一般には株式=高リスク資産、債券=低リスク資産ですが、ここで気をつけたいのは債券は”低”リスク資産であって、”無”リスク資産ではないということは、今回のような経済ショックにおいて実感した人も多いのではないでしょうか。

地方自治体債も下落

前述の文脈において、個人的に注目していたのは米国の地方自治体債の動きでした。通常、地方自治体債は国債に準ずるものとしてほぼほぼデフォルトのない資産ですから、利回りは国債にヒゲをつけたくらいしかありません。しかし、今回のコロナショックにおいてアメリカの地方自治体債も急速に下落しました。FRBが社債同様、買入方針を示したのでその後は落ち着きましたが、低リスク資産まで影響を受けたことは今回のコロナショックが決して軽いものではなかったことを表していると思います。

トリプルAの債券は安全か

社債においてトリプルA(最上級)の格付けをもつ債券に投資をする個人投資家はあまり多くないかなと思います。利回りが非常に低いからです。一方で、世の中にはトリプルAの格付が付与された債券を買い占める機関投資家はいます。例えば、CLOという商品は証券化商品と言われるものですが、格付のクラス(トリプルAからトリプルC等)を分けることによって、格付の低い商品を購入する投資家は普段のリターンがより高い代わりにデフォルトによる損失を優先的に負うとしているものです。証券化商品でいうトリプルAと社債でいうトリプルAは少しニュアンスが違うのだ、くらいに認識しておくと良いかなと思います。日本の金融機関の場合、利回りを求めてCLOに投資をしているところは多く、コロナショックにおける影響が後々出てくる可能性はあります。

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債券に投資のチャンスはあるのか

今回の株価下落を受けて、バーゲンセールだと考えた人は株式投資に向いている人だと思いますし、一方で債券も買いじゃないかと思った人は債券投資に向いていると思います。

ニュースをきちんと追いかけた人は「米ドルの金利は下がった」という認識を持っているかと思います。そうすると、債券利回りも下がったのではないか、と思うかもしれませんが、それは必ずしも正解ではありません。

簡単に示すと、

 社債利回り=リスクフリー債券利回り(国債利回り)+ 信用スプレッド

ですから、国債利回りが下がったから、社債の利回りも下がるわけではありません。なぜなら、景気が悪いときは企業の業績が悪化し、破産リスク見合いの信用スプレッドが拡大するからです。債券利回りの上昇はすなわち債券価格の下落ですから、「おっと。景気が悪いと株価は下がるし、債券も下がるということか。」と気づくはずです。ただし、同じ動きをするにしても債券価格の動きは株価の動きよりも抑制されている、と考えていて良いと思います。もし先行きの株価に不安がある(リスクの取りすぎだと思う)のであれば、債券というリスクの取り方も考えてみるのもいいかもしれませんね。新規、投資済みの債券について疑問のある方はお問い合わせください。

関連記事:株価暴落に備えて現金比率を高めるべきか

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